エフェソス公会議(読み)えふぇそすこうかいぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エフェソス公会議」の意味・わかりやすい解説

エフェソス公会議
えふぇそすこうかいぎ

431年、小アジアエフェソスEphesos(エペソ)で開かれたキリスト教会の第3回公会議。いわゆるネストリウス論争の解決のため、東ローマ皇帝テオドシウス2世によって招集された。ネストリウス(コンスタンティノープルの総主教)は、キリストには神人二つの人格ないし実体があると主張、また当時広く用いられて東方世界で問題化していた「神の母(テオトコス)」というマリア呼称に反対したため、キリロス(アレクサンドリアの総主教)によって激しく論難され、この会議で異端宣告を受けた。この会議では、キリストの位格ペルソナ)について神人一体であること、マリアは神の母であることが決定された。

[菊地栄三]

『H・I・マルー著、上智大学中世思想研究所監訳『キリスト教史2 教父時代』(1980・講談社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エフェソス公会議」の意味・わかりやすい解説

エフェソス公会議
エフェソスこうかいぎ
Concilium of Ephesos

431年6月 22日~7月 17日にエフェソスで開かれた第3回公会議。キリストにおける神人両性の位格的結合とマリアは神の母 Theotokosであるか否かをめぐって,ネストリウスを中心とするアンチオキア派とキュリロスを中心とするアレクサンドリア派が対立。勢力関係が二転三転したのち,ネストリウスへの異端宣告と6ヵ条のカノンが採択され,キリストの位格は一つであること,マリアは神の母たることが認められた。なお,アウグスチヌスも招聘されたが,親書を受取る前にヒッポで没した。

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