日本大百科全書(ニッポニカ) 「シアン化水素酸」の意味・わかりやすい解説
シアン化水素酸
しあんかすいそさん
hydrocyanic acid
シアン化水素の水溶液。俗称青酸。ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウムK4[Fe(CN)6]を希硫酸とともに蒸留する。きわめて弱い酸で、シアン化カリウムの水溶液は加水分解のため強いアルカリ性を示す。水溶液は徐々に分解してギ酸アンモニウムを生じる。シアン化合物(HCN, (CN)2など)は猛毒であるが、保安技術の進歩に伴って、アルデヒドやニトリルなどの有機合成、果樹の害虫駆除剤、金・銀などの電気精錬、めっき工業などに広く利用されている。その存在は、ピクリン酸‐炭酸ナトリウム試験紙が黄色から紫色に変色するか、ベンジジン‐酢酸銅試験紙が青色に着色することによってわかる。
[守永健一・中原勝儼]