ベンジジン(読み)べんじじん(英語表記)benzidine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンジジン」の意味・わかりやすい解説

ベンジジン
べんじじん
benzidine

芳香族アミンの一つ。4,4'-ジアミノビフェニルともいう。無色またはやや赤色結晶。酸素と光で暗黒色に変化する。冷水には溶けにくく、熱水には溶ける。熱エタノール(エチルアルコール)にはよく溶ける。80℃以上の熱水から再結晶したものは無水和物、60℃以下からは一水和物を生じる。ニトロベンゼンの還元で得られるヒドラゾベンゼン無機酸と加熱すると、転位反応(ベンジジン転位)がおこって生成する。染料の原料として使われたが、現在は使用を禁止されている。また種々の金属イオンの検出試薬、リン酸イオン、硫酸イオン沈殿試薬としても用いられる。発癌(はつがん)性が強く、粉末でも蒸気でも皮膚から吸収されるので、取扱いには十分注意する必要がある。

[務台 潔]


ベンジジン(データノート)
べんじじんでーたのーと

ベンジジン
分子式C12H12N2
分子量184.2
融点127.5~128℃
沸点400~401℃/740mmHg
溶解度1/2447(水12℃)
2/213(水100℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベンジジン」の意味・わかりやすい解説

ベンジジン
benzidine

4,4′- ジアミノビフェニルのこと。化学式 H2NC6H4C6H4NH2 。無色の結晶。融点 128℃ (無水物) 。水に難溶。普通は塩酸塩として利用される。過酸化水素の検出,硫酸イオン SO42- の定量試薬として用いられる。染料中間体として重要なものであったが,発癌性問題となってからは使われていない。

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