シダ類(読み)しだるい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シダ類」の意味・わかりやすい解説

シダ類
しだるい
[学] Pteropsida

大葉(たいよう)類ともいうシダ植物の1綱で、枝系(テローム群)起源の葉、すなわち大葉をもつ一群をいう。一般に羽状複葉をもつが、単葉の場合であっても少なくともおもな葉脈は羽状に分枝する。葉縁か裏面胞子嚢(のう)をつける。枝系から葉への移行過程である葉態枝をもつものに石炭紀の古生シダ類があり、特異な形の中心柱をもつことで知られる。シダ類は真嚢(しんのう)シダ類と薄嚢(はくのう)シダ類の2種に大別される。真嚢シダ類は多細胞起源の胞子嚢をもち、嚢壁は多細胞層であり、薄嚢シダ類の胞子嚢は単細胞起源で、嚢壁は1細胞層である。薄嚢シダ類に含まれる水生シダ類では、大小2型の異型胞子を生じて退化縮小した雌性および雄性の配偶体をつくるが、他の薄嚢シダ類に属するオシダ科、ゼンマイ科、ヘゴ科などは同型胞子をもつ。現生シダの多くは薄嚢シダであり、大きさは数センチメートルのコケシノブから十数メートルになる木生シダまでさまざまである。真嚢シダ類にはハナワラビリュウビンタイなどがある。

西田 誠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シダ類」の意味・わかりやすい解説

シダ類
シダるい
Filicales; fern

シダ植物のなかで大葉を生じる類の総称。茎はすべて根茎となり,葉はフロンド frondと呼ばれる大葉で,羽状複葉となるものが多く葉柄と葉身と区別ができる。通常は葉の裏面や縁に胞子嚢を生じるが,光合成を行う裸葉と,胞子嚢群を生じる実葉とに分れるものもある。現在地球上に約1万種が知られる。なお,広義のシダ植物はこのシダ類のほかヒカゲノカズラ類トクサ類などを含む。

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世界大百科事典(旧版)内のシダ類の言及

【シダ植物(羊歯植物)】より

…多系の維管束植物のうち,胞子植物段階にとどまっている群で,系統的なまとまりではないと考えられている。一般にシダ類といわれるものは真正シダ類fernで,シダ植物にはほかにマツバラン類psilotum,石松(せきしよう)類lycopod,トクサ類(有節類)horsetail(これらをひっくるめてfernalliesという)が含まれる。
[生活環]
 種子をつくらない維管束植物はすべて,生活史のうちに,独立の生活を営む胞子体の世代(ふつうにみられるシダの体)と配偶体の世代(前葉体)をもち,それらが交互に現れる規則正しい世代交代を行っている。…

※「シダ類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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