改訂新版 世界大百科事典 「シャセリオー」の意味・わかりやすい解説
シャセリオー
Théodore Chassériau
生没年:1819-56
フランスの画家。西インド諸島サント・ドミンゴに生まれる。3歳のときパリに来て,幼少より美術の才能を示す。12歳でJ.A.D.アングルのアトリエに入り,17歳にしてサロン(官展)に入選するという早熟ぶりを示し,注文制作で半年のローマ留学費を稼ぐことさえできた。ローマではフランス・アカデミー院長となっていた師のアングルと再会するが,しだいにアングルの冷たく完成された様式を離れ,柔らかく溶けるような官能性を見せ,新古典主義よりもロマン主義に接近してゆく。以降はどちらの陣営にも属さずに,E.ドラクロアの影響を受けながら,神秘的で甘美でオリエンタルな雰囲気を持つ女性美の世界を追求した。P.ピュビス・ド・シャバンヌ,G.モローの師として象徴主義に影響を与える。
執筆者:馬渕 明子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報