シレネ(読み)しれね

精選版 日本国語大辞典 「シレネ」の意味・読み・例文・類語

シレネ

〘名〙 (silene) ナデシコ科マンテマ属(ビランジ属)の属名。また、同属植物総称名。

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デジタル大辞泉 「シレネ」の意味・読み・例文・類語

シレネ(〈ラテン〉Silene)

ナデシコ科マンテマ属の植物の総称。ムシトリナデシコなどが含まれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シレネ」の意味・わかりやすい解説

シレネ
しれね
[学] Silene

ナデシコ科(APG分類:ナデシコ科)マンテマ属の総称。北半球やアフリカに広く分布し、約300種ある。日本ではビランジや帰化植物のマンテマが分布する。普通シレネとよばれ、園芸植物とするものに次の2種がある。

 フクロナデシコ(袋撫子)S. pendula L.は地中海沿岸原産の二年草で、サクラマンテマともいう。高さ20~40センチメートル。茎はややつる状になり多くの枝を出す。葉は長楕円(ちょうだえん)形で先はとがり、細毛がある。4~5月、径約2センチメートル、桃色、白色でサクラに似た花を多数開く。萼片(がくへん)は半透明の袋状で紅色を帯びた筋(すじ)があり、花期後はさらに発達する。一般に矮性(わいせい)種を花壇植えあるいは鉢づくりにする。春播(ま)きではその年に開花しないが、9月中に播種(はしゅ)し、定植して冬を越すと、5月に開花する。変種に八重咲きがある。

 ムシトリナデシコ(虫捕撫子S. armeria L.はヨーロッパ中南部原産の一年草で、コマチソウ(小町草)ともいう。茎は平滑、葉はへら状で先はとがり、ろう質物に覆われ、灰緑色を呈する。5月に細い、じょうぶな30~60センチメートルの茎を出し、約1センチメートルの濃桃色花を散房状に多数つける。茎の上部節下に褐色粘液を分泌し小虫をつけ、このためムシトリナデシコの名があるが、食虫植物ではない。渡来は江戸末期で、各地の河原原野に野生化したものもみられる。花壇や切り花に利用する。栽培はごく容易で、9月播きすれば、やせ地でもよく育つ。変種に玉咲き種や白花種がある。

[伊藤秋夫 2021年1月21日]

 分子系統解析に基づくと、ナンバンハコベ属Cucubalusやセンノウ属Lychnisなどはマンテマ属に含まれる。世界に700種ほどあるとされる。

[編集部 2021年1月21日]


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