マンテマ(読み)まんてま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンテマ」の意味・わかりやすい解説

マンテマ
まんてま
[学] Silene gallica L. var. quinquevulnera (L.) Rohrb.

ナデシコ科(APG分類:ナデシコ科)の越年草。茎は直立し、高さ20~40センチメートル。葉は長楕円(ちょうだえん)形で、全体に毛が多い。初夏、枝先に径約8ミリメートルの花を多数開く。花弁白色で、紅紫色斑点(はんてん)が目だつ。ヨーロッパ原産。海岸など日当りのよい場所に生え、日本全土に帰化している。変種シロバナマンテマは、同じくヨーロッパ原産で各地に帰化しているが花弁に紅紫色の斑点がない。名は、本種が渡来したころムギセンノウ属Agrostemmaの植物であるとし、その学名からマンテマンとよばれていたものが、マンテマンが略されてマンテマになった、と牧野富太郎は記している。マンテマ属は全世界に二百数十種あり、萼(がく)が筒状となり、蒴果(さくか)は花柱の倍数に裂ける。子房の基部に隔壁のないものを、フシグロ属Melandryumとして区別することがある。

[三木栄二 2021年1月21日]

 現在のマンテマ属はナンバンハコベ属Cucubalus、フシグロ属、センノウ属Lychnis、ビスカリア属Viscariaなどを含む大きな属であり、世界に約700種ほどある。

[編集部 2021年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンテマ」の意味・わかりやすい解説

マンテマ
Silene gallica var. quinquevulnera

ナデシコ科の越年草。ヨーロッパ原産で,日本には江戸時代末期に観賞用として渡来したが,逸出して海岸の砂地河岸など日当りのよいところに帰化している。茎は 20~60cmで,全体に毛があり,腺毛も混る。葉はへら形,円頭,全縁で両面に長い毛がある。花は径6~7mmで,4~6月に総状につき,茎の一側にかたよってつく傾向がある。萼は円筒形,紫色を帯び長い毛がある。花弁は下部に花爪があり,白色で中央に濃紅紫色の斑点がある。

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