ジュネーブ学派(読み)じゅねーぶがくは(英語表記)École de Genève フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュネーブ学派」の意味・わかりやすい解説

ジュネーブ学派
じゅねーぶがくは
École de Genève フランス語
Geneva School 英語

スイス言語哲学者フェルディナン・ド・ソシュール学説を継承・発展させた学派。直弟子のバイイセシュエ、カルツェフスキーらに代表される第一世代と、フレ、ゴデル、エングラーらに代表される第二世代に分けられる。

 第一世代が結成したジュネーブ言語学会Société Genevoise de Linguistiqueの機関誌『ソシュール研究誌』Cahiers Ferdinand de Saussureは1941年に創刊され、第二世代のソシュール研究サークルCercle Ferdinand de Saussureに引き継がれて今日に至っているが、その特色は、(1)ソシュール文献学(『一般言語学講義』〈1916〉の生(なま)の講義録とソシュールの手稿に代表される原資料研究)と、(2)ソシュール解釈学(晩年の神話・伝説やアナグラムをも射程に入れたソシュール理論の再検討)の二つであるといえよう。

 1960年代以降、興味深い伝記的事実も発掘・考証されている。

丸山圭三郎

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュネーブ学派」の意味・わかりやすい解説

ジュネーブ学派
ジュネーブがくは
Geneva school

言語学の学派の一つジュネーブ大学ソシュールから教えを受けた C.バイイや A.セシュエ中心として形成された。ソシュールの教えを出発点とした構造言語学の学派であるが,言語の情意的な面に強い関心を示していること,共時言語学の特に構文論文体論に力を入れていることが特徴である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のジュネーブ学派の言及

【バイイ】より

…ジュネーブ大学教授(1913‐39)。ソシュール学説を継承発展させた〈ジュネーブ学派〉の代表者の一人で,とりわけ,〈理性的文体論〉の創始者として知られている。これは,作家などが美的意図にもとづいて表現する個人的な情緒発現を対象にするものではなく,日常的な言語の〈実現化〉一般の科学的研究であるとされた。…

※「ジュネーブ学派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android