イギリスの著述家。スコットランドに生まれ,はじめ医師として開業したが,後にリーズ市の新聞主筆をつとめ(1838-44),鉄道会社の役員になったり(1845-54)した後,著述に専念した。蒸気機関車の発明家ジョージ・スティーブンソンと知り合い,その伝記を書き(1857),続いて産業革命で功績のあった人々の伝記を発表して好評を得た。彼の著書の基礎にある人生哲学は,金も地位もない人間でも,他人に頼らず独力で勤勉と節約によって出世できるという,まさに19世紀イギリスの典型的処世術であった。これがもっともよく示されているのが代表作《自助論Self-Help》(1859)で,ベストセラーとなり諸外国で翻訳され,日本でも1871年(明治4)いちはやく《西国立志編》として翻訳され,多くの青年を力づけた。ほかに《人格論》(1871),《節約論》(1875)などがあるが,今日ではあまり高く評価されていない。
執筆者:小池 滋
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イギリスの著述家。スコットランド生まれ。エジンバラ大学卒業後、外科医を開業。のち『リーズ・タイムズ』の編集や鉄道事業にかかわる。蒸気機関車の発明者G・スティーブンソンに出会い、その伝記を発表(1857)、好評を博した。マンチェスター学派の立場にたった政治・社会改革運動や労働者階級の知的社会的向上に熱意を示し、積極的に講演活動を行った。その結果が『自助論(セルフ・ヘルプ)』(1859。明治時代の邦訳名『西国(さいごく)立志編』)の公刊となって現れた。そこで強調されている自学、独立独行、誠実、節倹などの諸徳は多大の反響をよび、ビクトリア朝イギリスの一大啓蒙(けいもう)書となって、世界各国語に翻訳された。
[西田 毅]
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1812~1904
イギリスの著述家。スコットランドの出身。ジャーナリストとして産業革命期に活躍した人物に興味をいだき,『自助論』(1859年)を著す。成功者の伝記を通して自助努力の大切さを説くこの書物は,資本主義興隆期の人心に訴えるところ大きく,日本でも『西国立志編』と訳されて歓迎された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…この思想は,自由貿易の確立がもたらしたイギリス自由主義の一つの社会的な表れと見ることができる。1859年に出版されたサミュエル・スマイルズの《自助Self‐Help》は,19世紀後半のロングセラーとなっただけでなく,広く世界各国語に訳された。日本では1871年(明治4)に中村正直によって《西国立志編》として訳出され,殖産興業を図った明治日本の経済的エートスに大きく貢献した。…
…イギリスの社会思想家S.スマイルズの《Self‐Help》(1859)を中村正直が1871年(明治4)に翻訳出版した書物11冊。勤勉,忍耐,節約といった美徳を涵養して人生を切り開くことを説く。…
…彼らは支配階級の地主階級とは異なってピューリタニズムの影響を強く受け,自分の仕事に勤勉で,自主独立の気概に富み,19世紀の時代思潮であった自由主義の最大の支持勢力であった。1859年S.スマイルズの《自助論》が出版され,爆発的な売行きを示したが,〈自助self‐help〉こそは,彼らの生活のモットーであった。この《自助論》は71年(明治4)に中村正直によって《西国立志編》として邦訳され,明治期の青年たちを鼓舞した。…
※「スマイルズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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