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ゼノンのパラドックス

百科事典マイペディアの解説

ゼノンのパラドックス

エレアのゼノンが事物の多性と運動を否定するため,これらを仮定すれば矛盾に陥ることを述べた逆説。〈俊足のアキレウスは先に出発した亀に追いつけない。なぜならアキレウスが亀に追いついたとき,亀は少し先へ進んでおり,アキレウスがさらにその場所に着いたときには亀はそのまた先へ進んでいて,これが無限に繰り返されるから〉,〈飛んでいる矢は,各瞬間を考えれば静止しているから,運動できない〉などが特に有名。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ゼノンのパラドックス
paradox of Zenon

古代ギリシア,エレアの哲学者ゼノンが唱えた連続性に関するパラドックス。真実に存在するものは唯一不動であるというパルメニデスの思想を受け継ぎ,この存在論への反論が論理的に矛盾に陥ることを示している。いくつかのパラドックスがアリストテレスの著作により伝わっているが,代表的なものに以下の二つがある。(1) アキレウスとカメが同時に出発し,アキレウスは後方からカメを追いかけるとする。アキレウスがカメの出発点に達したとき,カメは前進して少し先の地点にいる。次にアキレウスがその地点に達したとき,カメはさらに少し前進している。このようにしてアキレウスはいつまでもカメに追いつくことはできない。(2) 飛んでいる矢は各瞬間において一定の位置を占め,その位置で静止している。ゆえに矢は運動することはできない。(→弁証法

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世界大百科事典内のゼノンのパラドックスの言及

【ゼノン[エレアの]】より

…ゆえにこの前提は誤っている。この種の論法はこのほかにも,〈動〉にたいする論駁として,俊足のアキレウスは亀を追い越すことはできないとする〈アキレウス〉,飛ぶ矢は静止しているとする〈矢〉の論などがあるが,これらは〈ゼノンのパラドックス〉として知られている。厳密な意味での哲学的論議はパルメニデスの哲学的詩文において初めて現れたといえるが,ゼノンをもってギリシアの論証的散文の創設者とみることができよう。…

【同一性】より


[存在論と弁証法]
 アリストテレスが,矛盾律の定義にあたって,時間的条件とまた空間を含めた広い意味での場所(トポス)の条件を付け加えたことは,反面からいえば,いわば変化と差異ないし差別相によってみたされたわれわれの住む世界においては,こうした条件をぬきにした端的な同一性や同一律は成り立たないことを考慮してのことにほかならなかったとも考えられる。事実すでにソクラテス以前の古代ギリシア哲学者たちにおいて,パルメニデスは,〈あるものはあり,ないものはない〉という同一性の論理の立場を徹底して貫き,弟子のゼノンはこれを受けて,現実世界の生成変化や多様性の一切を論理的にありえぬものとみなす有名な一連の〈ゼノンのパラドックス〉を提示し,一方,ヘラクレイトスは,一切を流れてやまぬものとみなす見解を示していた。彼らにあって,同一性や生成変化ないし差異をどう考えるかということは,たんなる思考の規則や,あるいはわれわれの住む世界内の個々の事象についての探究である以前に,なによりもこの宇宙の根源そのものにかかわる存在論的問題の次元が考えられていたのである。…

【パラドックス】より

…このように,あることを立てるとちょうどその否定が結果するという形のパラドックスを二律背反という。運動に関するパラドックスの代表的なものにエレアのゼノンのパラドックスがある。これは運動が一般に不可能だとするもので,ゼノンはこれを四つの形で述べた。…

※「ゼノンのパラドックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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