ソー(英語表記)saw

翻訳|saw

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソー」の意味・わかりやすい解説

ソー
saw

タイの擦弦楽器。 (1) ソー・サム・サイ ヤシの実をハート形に半裁した共鳴胴に羊皮か子牛皮を張り,ガット弦3本を 26cmほどの下棹に固定し,約 120cmの上棹の上端で糸巻きにつけたもの。カンボジアではトゥロ・クメールといい,カンボジアで成立したとも,ビルマ (現ミャンマー) のトゥロを模したともいわれるが,形状はジャワのラバーブに近く,アラビア起源と考えられる。ブリッジの左側に昔は金やダイヤモンド,サファイア,現在では銀で装飾をしている。長さ約 86cmの細長い木製弓には 200本以上の馬の尾毛をつける。スコータイ時代にはすでにタイで用いられており,歌の伴奏マホリ・アンサンブルで使用する。 (2) ソー・ウー 中国系のガット弦2弦の胡弓で,やはりヤシ胴の上に約 64cmの硬木か象牙の棹をつけたもので,胴面には (1) と同じく皮を張り,胴裏には小孔がたくさんあり,複雑な模様を彫刻してある。ブリッジは固く巻いた布でできているが,フレットはない。 150~200本のウマの尾毛を使った 70cmぐらいの弓形の弓で弾くが,この弓は本体の2弦の間にくぐらせ,端を留めてあるので弓は本体から離れることはない。 (3) ソー・ドゥオン 中国の二胡に似ていて小さく,全長約 72cm。 120~150本のウマの尾毛をつけた弓を (2) と同じく本体に結びつけている。共鳴胴は本来は竹製で,象牙製もあり直径 7cm,長さ約 13cmの缶詰形で,弦を張る面には蛇皮を張り,他方は開いている。 (2) よりも音色が澄んでいて,(1) ,(2) とともにマホリ・アンサンブルで使い,(2) と (3) とは弦楽器合奏のクルアンサイにも使う。

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世界大百科事典(旧版)内のソーの言及

【笑劇】より

…先駆的作品としては13世紀後半の《少年と盲人》や,ジャンルこそ違え,ファブリオー,狐物語などが考えられるが,笑劇そのものの隆盛は15世紀である。同じ時期には,主としてフランスで人気のあった道化役者(ソーsot(馬鹿者)と呼ばれた)の芝居,ソティsotie(阿呆劇)や,《エブリマン》に代表される道徳劇も流行する。しかし笑劇だけが後世まで生き残り,16,17世紀に至るまでフランス全土に栄える。…

※「ソー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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