改訂新版 世界大百科事典 「タイミル半島」の意味・わかりやすい解説
タイミル半島 (タイミルはんとう)
Taimyrskii poluostrov
ロシア連邦,中央シベリア北端に,北極海に向かって突出した大きな半島。その北端のチェリュスキン岬はアジアの最北端である(北緯77°43′)。半島は西にカラ海,東にラプテフ海を分け,半島の北にはビリキツキー海峡をへだててセベルナヤ・ゼムリャ諸島がある。半島は長さ1000kmをこえ,東北東にのび,中央部にはおもに変成岩からなるビランガ山地Gory Byrrangaが高まり,最高点はレドニコーバヤ山の1146mで,山頂近くに氷河を懸ける。中央西部には長さ250kmのタイミル湖が盛夏以外は凍った姿をみせる。山地は裸地が多いが周囲の低地はツンドラで,開発の手は及んでいない。全域がロシア連邦タイミル自治管区(別称,ドルガン・ネネツ自治管区)に属し,ロシア人のほか,ドルガン族(エベンキ族,ヤクート族系の民族で,ヤクート語のドルガン方言を使用する。人口約4900),ネネツ族,ガナサン族などが沿岸部にわずかに住む。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報