ラプテフ海(読み)ラプテフかい(その他表記)More Laptevykh

改訂新版 世界大百科事典 「ラプテフ海」の意味・わかりやすい解説

ラプテフ海 (ラプテフかい)
More Laptevykh

ロシア連邦北東部の海。北極海一部で,南は北東シベリアの海岸,西はタイミル半島とセベルナヤ・ゼムリャ諸島,東はノボシビルスク諸島で限られる。面積66万2000km2海域の大半は大陸棚におおわれて浅く,深度は50mを超えないが,海域北部は大陸棚斜面を過ぎるので,最深点は3385mに達する。シベリア側の海岸部は屈曲に富み,レナ,ハタンガ,オレニョク,ヤナなどの大河河口の大きな三角州や大小の半島が突出し,あるいは溺れ谷を形づくる。塩分濃度は沿岸部で低く約17‰,北西部沖合で最も高い32‰を示す。月平均気温は2月(最寒月)では-25~-30℃,7月(最暖月)で3~5℃。年間降水量は100mmほどにすぎない。通年海上には氷塊が見られるが,夏季には沿岸部から100~200kmほどは氷がなく,1933年以来,ロシアの北氷洋商船隊が夏の2~3ヵ月だけ定期航路を開く。最重要港はレナ河口三角州の東方にあるチクシ港である。
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百科事典マイペディア 「ラプテフ海」の意味・わかりやすい解説

ラプテフ海【ラプテフかい】

北極海の一部で,シベリア北方のタイミル半島ノボシビルスク諸島の間の海域。ロシア語でMore Laptevykh。面積約65万km2。最大水深3385m。ほとんど一年中凍結。ただし沿岸部は夏季のみ氷がなく航行可能。名は18世紀の探検家ラプテフLaptevにちなむ。
→関連項目北極海ヤナ[川]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラプテフ海」の意味・わかりやすい解説

ラプテフ海
ラプテフかい
more Laptevykh; Laptev Sea

北極海の縁海の一つ。ロシア,タイムイル半島とその北に続くセーベルナヤゼムリャーを西端,ノボシビルスキー諸島東端に,シベリア北岸を南限とする海域。西部でカラ海と,東部で東シベリア海とつながる。この地の海岸地図を作成したラプテフ兄弟にちなんで命名された。面積約 71万 km2,平均深度約 578m,最高深度約 2980m。海域は大陸棚が大半を占めて浅い。レナ川ハタンガ川ヤナ川などが流入するため,沿岸部は特に海水の塩分濃度が低く (20~25‰) ,8~9ヵ月間結氷する。氷層を掘るとマンモスを含む氷河時代以前の多数の動物遺骸が発見できる。東部には薄い堆積物の下に非常に古い残存氷層が認められる。港はレナ川河口近くにチクシ,オレニョク川河口にオレニョクがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラプテフ海」の意味・わかりやすい解説

ラプテフ海
らぷてふかい
Море Лаптевых/More Laptevïh

北極海の一部で、シベリア沿岸のタイミル半島およびセーベルナヤ・ゼムリャと、ノボシビルスク諸島とに挟まれた部分。ハタンガ川、オレニョク川、レナ川、ヤナ川などの川が流入する。面積約66万2000平方キロメートル。大陸棚が発達するが、北部は最大水深3385メートルに至る。一年の大部分は結氷し、わずかに8~9月に沿岸の航行が可能となる。レナ川の河口近くにティクシ港がある。18世紀の北極探検家ラプテフ兄弟にちなんで名づけられた。

[宇根 寛]

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