タンパク工学(読み)たんぱくこうがく

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

タンパク工学
たんぱくこうがく

天然のタンパク質よりも優れた機能を発揮するように、天然の物質を基礎に新しいタンパク質を人工的に作成すること。プロテイン・エンジニアリングともよばれる。タンパク質を構成するアミノ酸の配列や立体構造、物理的性質などに関する研究の近年の進歩は著しい。自然界では遺伝子(DNA)の指令に基づいてアミノ酸が配列され、そのアミノ酸が結合してタンパク質となるが、遺伝子工学の進歩によって、DNAを人為的に合成してアミノ酸を発現させることが可能となった。タンパク工学では、この成果を利用する。
 また、タンパク質は、アミノ酸の数や配列だけでなく、立体的な形の変化によっても働きが異なることが多い。そこで分子の構造をコンピュータ上に立体イメージで表示しながら、目的にあわせて一部の構造を改変し、分子設計を行うバイオインフォマティクスを活用する手法も、いまや普遍的に利用されている。改変した部分のアミノ酸の構成を指示するようにDNAを合成し、もとのタンパク質のDNAの一部と置き換えて、大腸菌などに組み込むことにより、新しいタンパク質を得ることもできる。さらに、ヒトをはじめとした生物のゲノム解析プロジェクトの結果やプロテオームなどの研究成果を活用した、新規のタンパク質の合成など、タンパク工学の応用分野は、抗体や酵素の改変や新規医薬のみならず、食品その他へと拡大している。[飯野和美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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