ダビッド(René David)(読み)だびっど(英語表記)René David

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ダビッド(René David)
だびっど
René David
(1906―1989)

フランス法学者。パリに生まれる。パリ大学卒業後、グルノーブル大学、パリ大学、エクス・マルセイユ大学において比較法の講義を担当した。ナポレオン法典制定(1804)以降、法学者が自国の法の研究のみに専念してきたことに警鐘を鳴らし、国際関係があらゆる領域において重要性を帯びてきている現実を踏まえ、真の法文化構築のためには外国法に配慮することが必要だと説いた。そして法学に国境はないと指摘し、正義と平和を基調とする比較法研究の現代的意義を強調した。主著『比較民事法原論』Traité élémentaire de droit civil comparé(1950)において、宗教上、哲学上の相違等に基づいて現代世界の法を分類した。ヨーロッパ大陸法と英米コモン・ローの相違は法技術上の相違によるものであると指摘し、両者を西洋法として統一的に把握した。これを大学の講義のために要約した著書が『現代の主要法体系』Les grands systèmes de droit contemporains(1964)である。そのほか、フランスの法的伝統、立法行政司法法曹、法概念、法源などについて論じた『フランス法Le droit francais(2巻。1960)がある。

[野村敬造・畑 安次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例