コモン・ロー(読み)コモンロー(英語表記)common law

翻訳|common law

百科事典マイペディア 「コモン・ロー」の意味・わかりやすい解説

コモン・ロー

広義には,大陸法と区別して,英米をはじめとした国々の法制英米法〉をさす。狭義には,イギリスの国王裁判所の下で発展してきた判例による法理をさし,制定法教会法との対比で用いられる。さらには,国王裁判所のうち大法官府裁判所で発展してきたエクイティの法理との対比で用いられることもある。
→関連項目インズ・オブ・コートクック星室裁判所判例法普通法〈善きサマリア人〉の法

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コモン・ロー」の意味・わかりやすい解説

コモン・ロー
こもんろー
common law

普通法と訳されることがある。広義にはローマ法、大陸法などに対して、英米法一般を意味するが、もともとはイギリスにおいて一般的慣習法という意味で、国王裁判所が運用した法をさした。ついでコモン・ロー裁判所が運用した判例法の意味に用いられ、さらに、この意味のコモン・ローとエクイティをあわせて、制定法に対して、判例法あるいは非制定法をさす場合にも用いられる。

堀部政男

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コモン・ロー」の意味・わかりやすい解説

コモン・ロー
common law

裁判所の判断に基づき,判例の報告を積重ねた慣習法の体系。最も古典的な用法としては,中世初期,エドワード1世の時代に各種国王裁判所がイギリス全土を巡回してまとめあげた一般的慣習法をさす場合があげられる。現代ではその用例は多岐にわたっており,大陸法系に対する英米法系を意味する場合,衡平法裁判所が形成してきた判例体系 (エクイティの体系) に対して通常裁判所が形成してきた判例体系を意味する場合,議会制定法に対して裁判所が形成する判例法 (エクイティを含む) を意味する場合などがある。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「コモン・ロー」の解説

コモン・ロー
common law

イギリスで行われている法体系。王国の全体に「共通の(コモン)法」というのが,もとの意味。ほぼ12世紀後半からの1世紀間に,国王裁判所において先例にもとづいて体系化された。判例尊重主義であったため,その欠陥を補うことを目的に15世紀以降に衡平(こうへい)法が導入され,また近世に入って議会制定法の果たす役割も大きくなったが,これに対してコモン・ローは慣習法である非成文法として,英米の基本的な法体系を形づくっている。

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