チンハイ(青海)省(読み)チンハイ(英語表記)Qinghai

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チンハイ(青海)省」の意味・わかりやすい解説

チンハイ(青海)〔省〕
チンハイ
Qinghai

中国,西北地方の1級行政区。略称はチン (青) 。行政中心地はシーニン (西寧) 特別市。省名は中国最大の塩湖であるチンハイ (青海) 湖から生じた。チベット高原の北東部を占め,クンルン (崑崙) 山系に属する多数の山脈が東西に並行し,標高は一般に 4000mをこえる。中央から南部にかけては主脈のバインハル (巴顔喀拉) 山脈などが占め,チャン (長) 江,ホワン (黄) 河,ランツァン (瀾滄) 江 (メコン川の上流) などアジアの大河の源流域である。気候は寒冷で乾燥しており,1月の平均気温は-8℃以下で,7月で0~20℃である。年降水量も一般に 300mmをこえない。しかし,山頂の多くは万年雪に覆われるため,河水や地下水が豊富で,なだらかな山腹盆地,広い谷などが,夏季には草原に覆われる。また東端にはホワン河と支流のホワン (湟) 水の谷があり,標高 2000m前後で,年降水量は 500mmとなり,省の穀倉である。北西部には面積 20万 km2に及ぶツァイダム (柴達木) 盆地が広がる。主産業は牧畜で,ヒツジを中心にヤク,ウシ,ウマ,ロバ,ラクダを放牧する。特に羊毛と羊皮が品質のよさで知られている。農業はコムギ,チンクオと呼ばれるハダカムギアワエンドウ,ジャガイモ,アブラナを中心とする。用水路の建設やアルカリ土壌の改良によって耕地が拡大している。ツァイダム盆地は地下資源が豊富で,石油と天然ガスの大鉱床があるほか,塩湖では塩が採掘される。北部のチーリエン (祁連) 山脈ではタートン (大通) ホイ (回) 族ツー (土) 族自治県の炭田が有名。シーニン市や鉱業地域の都市で鉄鋼,化学などの重工業が行なわれている。カンスー (甘粛) 省ランチョウ (蘭州) 特別市からシーニン市へランチン (蘭青) 鉄道が通じ,チベット自治区のラサ (拉薩) 特別市へチンツァン (青蔵) 鉄道が通じる。また自動車道が隣接各省に通じる。住民は 63%を占める漢族のほか,チベット族,モンゴル族,ホイ族,トゥ族,サラール族など。ホワン河の谷を中心とするシーニン特別市とハイトン (海東) 地区に人口が集中し,高原面は6自治州に分かれる。2市,30県,7自治県がある。面積 72万 1500km2。人口 445万 6946 (1990) 。

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