ティサ川(読み)てぃさがわ(英語表記)Tisza

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティサ川」の意味・わかりやすい解説

ティサ川
てぃさがわ
Tisza

東ヨーロッパの川で、ドナウ川の一大支流。セルビア語、クロアチア語、ロシア語、ルーマニア語ではTisaと綴(つづ)る。Tiszaは英語、フランス語。ドイツ語名はタイス川Theiss。カルパティア山脈中に水源をもち、上流部で数多くの支流を集め、ハンガリー平野に入ると著しく蛇行しながら西側を流れるドナウ川と平行して南流し、セルビアのベオグラード北北西45キロメートルの地点でドナウ川に合流する。全長966キロメートル、流域面積15万7100平方キロメートル。ハンガリー平原の黒土地帯灌漑(かんがい)に利用される。下流700キロメートルは喫水の浅い船なら航行可能である。下流には至る所に沼沢地があり、沿岸には多くの三日月湖ができている。ティサ川とドナウ川との間には、セルビアとハンガリーがそれぞれ運河をもっている。なおティサ川は流量変化がかなり大きいので、ダムで調節している。

[三井嘉都夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ティサ川」の意味・わかりやすい解説

ティサ川
ティサがわ
Tisza

ドナウ川の中流部に注ぐ主要な支流の一つ。ルーマニア語,セルボ=クロアチア語では Tisa,ロシア語では Tissaと綴る。ドイツ語ではタイス Theiss。 Tiszaはハンガリー語。全長 977km,うち 579kmはハンガリー領。ウクライナとルーマニアとの国境付近,カルパート山脈に源を発する黒ティサ川,白ティサ川を源流とし,ハンガリー盆地の北東部-東部を流れ,セルビアに入り,ベオグラードの北 45kmでドナウ川に注ぐ。季節による水量の差が大きく,増水時にはたびたび氾濫する。筏を組んで木材が運搬され,ハンガリー中東部のソルノクでは航行も可能。 19世紀後半から改修事業や堤防建設が行なわれ,第2次世界大戦後は発電用,灌漑用のダムの建設が進んでいる。おもな支流はムレシュ川,サモシュ川,ボドログ川,ケーレシュ川など。

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改訂新版 世界大百科事典 「ティサ川」の意味・わかりやすい解説

ティサ[川]
Tisza

ドナウ川の支流で,ハンガリー東部を流れる川。全長997km。このうちハンガリー国内は579km。ドイツ語でTheiss,セルビア・クロアチア語でTisa。カルパチ山脈の東部(ウクライナ)に発し,ハンガリー平原を流れ,ユーゴスラビアに入り,ベオグラードの北北西45kmでドナウ川に合流する。流域が広く,古くから春さきによく洪水を起こした。とくに1879年の洪水はセゲド市を全滅させた。やがて治水が進み,運河も開かれ,ハンガリー大平原の灌漑に役立っている。
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