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テロメア telomere

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

テロメア
telomere

染色体末端粒子。真核生物染色体の末端部分にみられる塩基配列の反復構造をいう。 TTAGGGの配列が哺乳類で数百回,ヒトの生殖細胞では約1万 5000~2万塩基対も繰返されている。テロメアは細胞分裂のたびに少しずつ短くなることから,染色体の複製に伴う損傷を防ぎ安定性を維持する働きをになう「あそび」の部分と考えられる。ヒトの細胞のテロメア配列は若年者のほうが高齢者の 1.5倍ほど長く,老化との関連も指摘されている。テロメアの減少を補い新しい配列を追加しているのはテロメラーゼという酵素で,培養実験で老化を遅らせる働きが確認された。

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知恵蔵の解説

テロメア

染色体の末端にある染色体を保護する構造物。テロメアは細胞が分裂するたびに短くなっていく。ヒトの線維芽細胞を培養すると、およそ50回の分裂で増殖が止まってしまう。テロメアが短くなりすぎて、染色体を保護できなくなり、細胞が死ぬと考えられる。無限に分裂を繰り返すがん細胞や、生殖細胞などではテロメラーゼ(telomerase)という酵素があり、テロメアの短縮を防いでいる。一般に受精卵から成熟細胞になるにつれて、テロメラーゼの活性が低下していく。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

テロメア

染色体の末端にあり、特定の塩基配列の反復とタンパク質から成る構造物。細胞分裂をするたびに短くなり、細胞の複製時の際にエラーが起こったりDNAが損傷するのを防ぐ働きがある。動物、植物など、細胞の中に細胞核をもつ真核生物にだけ存在する。
ヒトをはじめとする哺乳類では、テロメアにTTAGGGという塩基配列が並んでおり、ヒトの場合で1万回以上繰り返される。1回の細胞分裂でこれが25~200ずつ減り、5000ぐらいまで減ると細胞が分裂しなくなる。そのため、ヒトの体細胞が分裂できる回数はおよそ50回から70回までで、これを超えると増殖せず細胞老化という状態になる。また、加齢にしたがってテロメアが短くなっていくことから、生体の寿命にも関連していると考えられている。
テロメアが短くなってもテロメラーゼという酵素が活性化していれば、継ぎ足して分裂することができるが、成熟したヒト体細胞にはテロメラーゼがないか、あっても非常に活性が低い。一方、生殖細胞や胚性幹細胞(ES細胞)のテロメラーゼは活性度が高く、テロメアの長さを維持して増殖し続けることができる。
また、ほとんどのがん細胞はテロメアが通常の体細胞に比べて短いものの、テロメラーゼが大量に存在し、活性度も高い。がん細胞が無限に増殖を繰り返すのは、このためと考えられており、テロメラーゼを不活化することによってがんを治療する薬の開発が進められている。
エリザベス・H・ブラックバーンらは、1978年にテロメアの反復配列の存在を報告。、その後テロメラーゼを単離し、その働きを明らかにしたことにより、2009年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。

(石川れい子 ライター/2017年)

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デジタル大辞泉の解説

テロメア(telomere)

細胞の核にある染色体の末端領域のこと。単純な反復配列からなり、細胞分裂のたびに短くなり、細胞は50~60回しか分裂できない。反復数が次第に減少することが細胞老化に関係し、生体の老化との関連が示唆されている。また、テロメラーゼという酵素によって再び伸長される。末端小粒。→テロメラーゼセントロメア

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栄養・生化学辞典の解説

テロメア

 真核生物の染色体の末端にある特有のDNA塩基配列で,末端に繰返し配列で存在.細胞が分裂すると100塩基対ほどが失われることから,細胞の分裂回数の指標とされる.

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大辞林 第三版の解説

テロメア【telomere】

染色体の両端に見られる、一定の塩基配列の反復構造。染色体が無秩序に融合するのを防いでいると考えられる。細胞分裂にともない、次第に短くなる。

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