トリハロメタン

百科事典マイペディア「トリハロメタン」の解説

トリハロメタン

浄水場で消毒・殺菌に用いる塩素がフミン質などの有機物質と化合して生成される有機塩素化合物の一部。クロロホルム,ブロモジクロロメタン,ジブロモクロロメタンおよびブロモホルムの4種からなり,これらを全部一緒にして総トリハロメタンという。4種には肝毒性があるほか,クロロホルムとブロモホルムは発癌性があり,ブロモジクロロメタンとジブロモクロロメタンはいずれも突然変異を誘発することが動物実験によって明らかになっている。湖沼や河川の水汚染が進み,浄水場の原水中に藻類やアンモニア性窒素,有機物質が多量に含まれるようになったため,浄水処理の工程で投入する塩素剤の量も増加,その結果,トリハロメタンの発生量が増えている。1981年3月,厚生省はトリハロメタンの暫定制御目標値を0.1ppm(100ppb)と決め,塩素と反応してトリハロメタンを発生させる有機物質を取り除くなどして,その濃度を低減するよう都道府県に通達した。
→関連項目有機塩素化合物

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栄養・生化学辞典「トリハロメタン」の解説

トリハロメタン

 水道水の処理に使用される塩素が原水内の有機物質と反応して生成するハロゲン化合物.クロロホルム,ブロモジクロロメタン,ジブロモクロロメタン,ブロモホルムの総称.

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世界大百科事典内のトリハロメタンの言及

【上水道】より

…塩素は水中の炭化水素と塩素化反応を起こして種々の有機ハロゲン化合物(TOX)を生成する。トリハロメタン(水素原子3個が塩素などハロゲンと置換したメタンで,クロロホルムなど)はその代表群である。その物質の人体への有害性(発癌性,突然変異性)が疑われていることから,これらの生成の機構を明らかにし,生成を阻止,または生成物を除去する研究が1970年代後半から世界中で高まり,現在では,(a)浄水過程でアンモニア性窒素の酸化,有機物の酸化,殺藻などのため大量の塩素を用いてきたことを改め,塩素によらないでこれらを除去する方法を開発する,(b)塩素は殺菌,もしくは殺菌力持続の目的に限定して用い,必要最小限の量を,浮遊物質と溶存有機物が凝集,吸着などで十分に除去された後の水に加える,(c)酸化力(殺菌力)はもつが塩素化力は弱く,かつ持続効果のある殺菌剤(二酸化塩素など)への転換の研究,(d)活性炭吸着プロセスの付加などによって相当程度克服しうるめどがついた状況にある。…

【都市衛生】より

…自動車排ガスや工場,ビル暖房,清掃工場などからの排煙による大気汚染は,強化されつつある規制や技術的進歩にもかかわらず,まだ根本的な解決に至っていない。水道(上水道)原水の劣化に伴う浄水処理での塩素添加量の増大はトリハロメタン(発癌性が疑われている有機塩素化合物)の増加を結果として伴い,水道水の安全性確保のためには水域の汚染防止がより強く進められなければならないことを示している。交通騒音,近隣騒音は今なお深刻な問題として残っている。…

※「トリハロメタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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