トルティリャ(その他表記)tortilla[スペイン]

改訂新版 世界大百科事典 「トルティリャ」の意味・わかりやすい解説

トルティリャ
tortilla[スペイン]

トウモロコシの粉でつくる円盤状パン。スペイン侵入以前のメソアメリカで発明され,現在もメキシコ主食としての地位を保っている。生煮えのトウモロコシを石灰水に一晩漬ける。これをニスタマルという。次にニスタマルをメタテでつぶしてこね玉を作る。こね玉から必要量をとり,掌で叩き平らな円形にする。これをコマルという素焼の平たい土鍋で焼いて食する。このような調理は現在,都市ではみられなくなっている。よく知られている食べ方は,肉,豆,その他なんでもトルティリャに包み丸めて〈タコ〉にして食べる方法である。タコスはその複数形。また,伝統的な方法として,トルティリャをちぎってさじ代りにしながら食することも多い。その他,タコにしたものを油で揚げて食べる方法,エンチラダとよばれるトウガラシ・ソースにつけて揚げたもの,小さく切ったトルティリャを干したあと揚げてスープに入れる方法,コマルで焼く前のトルティリャにチーズを包んで焼くケサディヤなどがある。
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百科事典マイペディア 「トルティリャ」の意味・わかりやすい解説

トルティリャ

スペインでは,いわゆるスペイン風オムレツを指す。素朴な家庭料理で,油で揚げたジャガイモタマネギを溶いた卵に混ぜてつくる。このオムレツ,またはカツを大きな丸いパンにはさんだものは,もっともありふれたピクニックの弁当。メキシコ,中米では,トウモロコシの粉でつくる円盤状パンを指し,メソアメリカの伝統的な主食。以前は各家庭でつくって焼いたが,現在は既製品を買うようになった。トルティリャをちぎって,それで料理を口に運ぶことが多い。このトルティリャにいろいろなものをはさみ,辛いソースで食べるのがタコスtacos。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルティリャ」の意味・わかりやすい解説

トルティリャ
とるてぃりゃ

トルティーヤ

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世界大百科事典(旧版)内のトルティリャの言及

【西洋料理】より

…中央部のカスティリャ地方の子豚の丸焼き,南部アンダルシア地方の生の野菜をすりつぶしてどろどろにした冷たいスープ,ガスパチョgazpacho,米の産地バレンシア地方の肉や魚介を入れてサフランの風味をつけたたき込み飯,パエーリャpaellaなど各地に名物料理は多い。丸く平らに焼く野菜入りのオムレツのトルティリャtortillaや,肉,豆,野菜などを煮込んだコシードcocidoのように全国的に作られている料理もある。すべての料理に共通するのは,オリーブ油,ニンニク,豆,干ダラ,そしてハム,ソーセージなどの豚肉加工品が多く使われることで,地中海,大西洋に面していることから,魚介料理もよく食卓にのぼる。…

【西洋料理】より

…中央部のカスティリャ地方の子豚の丸焼き,南部アンダルシア地方の生の野菜をすりつぶしてどろどろにした冷たいスープ,ガスパチョgazpacho,米の産地バレンシア地方の肉や魚介を入れてサフランの風味をつけたたき込み飯,パエーリャpaellaなど各地に名物料理は多い。丸く平らに焼く野菜入りのオムレツのトルティリャtortillaや,肉,豆,野菜などを煮込んだコシードcocidoのように全国的に作られている料理もある。すべての料理に共通するのは,オリーブ油,ニンニク,豆,干ダラ,そしてハム,ソーセージなどの豚肉加工品が多く使われることで,地中海,大西洋に面していることから,魚介料理もよく食卓にのぼる。…

【トウモロコシ(玉蜀黍)】より

…また,その利用の方法も伝統的なものをよく残している。まず,メソアメリカではスペイン人の到来以前から現在にいたるまで,主食はだいたいどこでもトウモロコシを材料とするトルティリャである。トルティリャは,薄く丸い生乾きのせんべいといった感じのもので,両面をかるく焼いてちぎって,トウガラシ汁につけて食べる。…

【パン】より

…これと並んで中東には,かまどの底で高温で焼いたバラディーという丸く平らなパンもあり,西へいくほど,パン類の種類は豊富になる。そのほかでは,トウモロコシを材料としたメキシコのトルティリャは無発酵のパン類,テフという雑穀を材料としたエチオピアのインジェラは発酵性のパン類の一種ということもできよう。世界のパン類文化は自然,気候,材料から調理道具,食器などにいたるさまざまな条件によって多様だが,以下ここでは,狭義のパンの歴史を中心に記述する。…

※「トルティリャ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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