ドレフュス(その他表記)Dreyfus, Alfred

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドレフュス」の意味・わかりやすい解説

ドレフュス
Dreyfus, Alfred

[生]1859.10.19. ミュルーズ
[没]1935.7.11. パリ
ユダヤ系のフランスの軍人陸軍将校。「ドレフュス事件」の中心人物。富裕なユダヤ人織物製造業者の子として生れた。 1882年エコール・ポリテクニクに入学,のち職業軍人となって,89年陸軍大尉に昇進。 94年陸軍省勤務中,軍事情報をドイツ側に通報した手紙の犯人と認定され,軍籍位階の剥奪,無期流刑に処された。しかしその後,その無罪を証明するのに有利な証拠が発見され,『オーロール』紙上の É.ゾラによる公開文「私は弾劾する」をはじめ,再審要求運動が活発化し,反ユダヤ人主義の国家主義者たちも反撃の大論陣を張り,事件は政治闘争に転化した。 1906年7月ドレフュスの無罪が最高裁判所によって確定され事件は落着し,同月 22日ドレフュスは正式に復権し,レジオン・ドヌール勲章を授けられた。この事件は,反ユダヤ人主義,反ドイツの右翼陣営と反軍国主義,共和制,人権擁護の左翼陣営との間の根深い対立を露呈し,両陣営とも著名な文学者を巻込んで,第三共和政とフランスの近代史に大きな影響を与えた。

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百科事典マイペディア 「ドレフュス」の意味・わかりやすい解説

ドレフュス

米国インダストリアルデザイナーニューヨーク生れ。舞台デザイナーから転身し,1929年インダストリアル・デザイナーとして事務所を構える。1930年代にはレイモンド・ローウィやノーマン・ベル・ゲッデス,ウォルター・ドーウィン・ティーグと並ぶデザイナーとして名声を得る。機関車〈20世紀リミテッド〉(1938年)などアメリカの流線型デザインを代表する製品を数多く生みだした。人間工学を積極的にデザインに応用した先駆者としても知られる。〈黒電話〉として知られる〈モデル300〉(1937年)をはじめ,〈モデル500〉(1951年),〈トリムライン〉(1965年)など一連のベル社(のちのAT&T)の電話機は,彼の人間工学研究の成果といえるもの。いずれも簡素ながら使い勝手を緻密に計算したデザインで,全米に普及し,ロングセラーを記録した。

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