日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニスタット条約」の意味・わかりやすい解説
ニスタット条約
にすたっとじょうやく
大北方戦争を終結させるため、1721年8月フィンランドのニスタットNystad(現ウーシカウプンキUusikaupunki)においてロシア・スウェーデン間に締結された条約。これ以前すでにスウェーデンは、ハノーバー(1719)、プロイセン、デンマーク(1720)と講和し、ブレーメン、フェルデン、ポンメルンの一部を割譲していた。この条約により、ロシアは占領中のフィンランドの大部分をスウェーデンに返すが、カレリアの東部、イングリア、エストニア、リボニアを併合することになった。一方、スウェーデンは、エストニア、リボニアから無関税で大量の穀物を輸入する権利を保障された。軍事情勢が絶望的であったスウェーデンにとって著しく不利な条件ではなかったが、この条約により、バルト海の覇権はスウェーデンからロシアの手に移った。
[本間晴樹]