リボニア(読み)りぼにあ(英語表記)Livonia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リボニア」の意味・わかりやすい解説

リボニア
Livonia

ドビナ川流域以北,リガ湾にのぞむラトビア共和国全土とペイプス湖以南のエストニア共和国南部にわたって用いられた歴史上の地方名。フィン=ウゴル系の先住民リーブ人 Livsに由来し,その後ラトビア人を主体にエストニア人の入植をみたが,12世紀以降はデンマーク人とドイツ人の植民が積極化し,13~16世紀にはリガを中心にドイツ騎士団が支配。リボニア戦争 (1558~83) の開戦直後に騎士団が解体されてポーランド領になったが,バルト海進出を意図するロシアと争奪戦が続き,17世紀に入りクールラントの隣接部分を除きその大部分はポーランドからスウェーデン領となった。以後,ロシア,ポーランド,スウェーデンの3国間で争奪が繰返されたが,1721年のニスタットの和約以降はロシアに併合された。

リボニア
Livonia

アメリカ合衆国,ミシガン州南東部の都市。工業都市デトロイトの西郊にあり,1835年に発足して以来農村であったが,第2次世界大戦後工業が興り,住宅地としても急速に発展した。マドンナ女子大学,デトロイト競馬場がある。人口 10万 850 (1990) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リボニア」の意味・わかりやすい解説

リボニア(歴史的地域名)
りぼにあ
Livonia

ヨーロッパ東北部、西ドビナ川以北のラトビア共和国とチュド(ペイプス)湖以南のエストニア共和国の地域に用いられた歴史的地方名。先住民はフィン・バルト系のリーブリ人(リボニア人)で、名称はこれに由来する。12世紀からデンマーク人とドイツ人の植民が盛んになった。1202年には帯剣騎士団がおこり、1237年ドイツ騎士団と合体した。リボニア戦争(1557~82)では、ポーランド、デンマーク、スウェーデン、モスクワ公国が、この地をめぐって争い、1561年ポーランドが帯剣騎士団を臣従させ、全土を支配した。その後も争奪が続き、1629年スウェーデン領となったが、大北方戦争の結果、1721年のニスタット条約によりロシア領となった。1918年に北部はエストニア、南部はラトビアに編入された。

[安部一郎]


リボニア(民族)
りぼにあ
Livonian

リーブリ

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android