ニトログアニジン(その他表記)nitroguanidine

デジタル大辞泉 「ニトログアニジン」の意味・読み・例文・類語

ニトログアニジン(nitroguanidine)

グアニジンの窒素原子をニトロ基に置換した有機化合物トリプルベース火薬という無煙火薬基剤として用いられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ニトログアニジン」の意味・わかりやすい解説

ニトログアニジン
nitroguanidine

1877年に初めて合成されたニトラミン化合物。略記号NGd。第2次大戦以降,トリプルベース発射薬の一成分として用いられるようになった。ニトログアニジンを添加すると燃焼温度が低下し,同じエネルギーで発生するガスの砲身に対する侵食(焼食)性は減少する。無色の多結晶質で,ふつう低比重のもつれた構造の粉末である。結晶比重1.77,融点246~246.5℃。非吸湿性であるが,温水にはかなり溶ける。DTA分解開始温度約220℃,分解ガス発生量は大で,発射薬成分として有利である。爆速は比重1.704で8280m/s。ニトログアニジンは炭化カルシウム原料として,カルシウムシアナミドCaCN2を経てジシアンジアミドとし,硝酸アンモニウム加熱溶融して次式に示す反応で製造される。


執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「ニトログアニジン」の解説

ニトログアニジン
ニトログアニジン
nitroguanidine

CH4N4O2(104.07).ジシアンジアミド硝酸アンモニウムから得られた硝酸グアニジンを,濃硫酸中20 ℃ 以下で脱水して合成される.針状晶.分解点257 ℃.1.775.λmax 264 nm(log ε 4.16).発火点275 ℃.爆発熱4.43 kJ g-1(溶液).熱湯,DMF,硫酸に可溶,エタノール,硝酸に難溶.ニトラミン系爆薬で,固体ロケット推進薬として重要である.医薬品の合成中間体である.頭痛低血圧などの薬害を起こす.[CAS 556-88-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のニトログアニジンの言及

【火薬】より

…ピクリン酸,トリニトロトルエン(TNT),ヘキサニトロスチルベン(HNS),ジアミノトリニトロベンゼン(DATB),トリアミノトリニトロベンゼン(TATB)などは芳香族ニトロ化合物として分類される爆薬で,おもな用途は軍用である。ニトロアミノ結合N-NO2をもつニトラミン系爆薬としてはシクロトリメチレントリニトラミン(RDX),シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX),ニトログアニジンテトリルなどがある。いずれも軍用に用いられたが,現在ではRDXおよびHMXは砲弾の中につめる炸薬として,ニトログアニジンは発射薬の成分として,テトリルは雷管の添装薬として用いられている。…

※「ニトログアニジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android