ニューギニア高地民(読み)ニューギニアこうちみん(英語表記)New Guinea Highlanders

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニューギニア高地民」の意味・わかりやすい解説

ニューギニア高地民
ニューギニアこうちみん
New Guinea Highlanders

ニューギニアの中央高地に住む人々の総称。形質的にはオセアニア・ニグリトに分類され,パプア諸族を含む。地域差があるが,皮膚は茶褐色,頭髪は黒の縮毛で一般に低身長である。チンブー族,エンガ族は高地民の代名詞のように使われるほど大きな民族集団である。言語はパプア語系 (非オーストロネシア語族) で多くの語族に分れるが,そのほとんどは中央ニューギニア大語族群団 The Central New Guinea Macro-Phylumに属すると考えられている。2万年前に南アジアからインドネシア諸島を経てニューギニアに移住したといわれ,あとから来たメラネシア人内陸へ追いやられた。ニューギニア人口の大部分を占めるが中央集権的な政治制度に欠けている。一つの社会集団は 100~360人ぐらいから成り,首長は戦いや交易で取引の術にたけた者がなり,世襲ではない。父系社会で亜氏族ごとに集落をつくる。男性は「男の家」で生活し,女性と子供は別に住む。生業はさつまいも,タロいも,ヤムいもなどを栽培する農耕で,豚も飼育する。人口の希薄なところでは半移動的な焼畑農耕のほか採集・狩猟も行なっている。農具掘棒シャベル弓矢はあるが土器はなく,20世紀に入ってからも磨製石器を使用していた。民族間の交易が発達し,白人接触 (1930年代) 以前も海岸地方から貝貨,ビーズ,鉄器などを入手していた。 1950年代にパプアニューギニアでは白人のプランテーションで働く者が出はじめ,貨幣経済とピジンイングリッシュが高地にもたらされ,また換金作物としてコーヒーが導入された。近年西イリアンの高地民に比較してパプアニューギニアでは政治,経済ともにめざましい近代化が進んでいる。

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