ノックス(読み)のっくす(英語表記)John Knox

デジタル大辞泉 「ノックス」の意味・読み・例文・類語

ノックス(NOx

大気汚染物質の一つである窒素酸化物のこと。→ソックス(SOx

ノックス(John Knox)

[1515ころ~1572]スコットランド宗教改革者。カルバンの影響を受け、スコットランドに改革派教会を設立。カトリックの女王メアリ=スチュアートを批判し、激しく対立した。

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精選版 日本国語大辞典 「ノックス」の意味・読み・例文・類語

ノックス

  1. [ 一 ] ( John Knox ジョン━ ) スコットランドの宗教改革者。カルバンに師事し、スコットランドに改革派教会を設立。著「スコットランド宗教改革史」。(一五一四頃‐七二
  2. [ 二 ] ( Philander Chase Knox フィランダ=チェイス━ ) アメリカの政治家。マッキンリー、T=ルーズベルト大統領のとき司法長官として助力。一九〇九年にはタフト大統領の国務長官となり、ドル外交を推進した。(一八五三‐一九二一

ノックス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] NOx ) 大気汚染の原因となる窒素酸化物の総称。特に、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)をまとめてさすことが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノックス」の意味・わかりやすい解説

ノックス(John Knox)
のっくす
John Knox
(1513/1515―1572)

スコットランドの宗教改革者。ハディングトン(エジンバラ東郊)郊外の農民の家に生まれる。セント・アンドリューズ大学卒業後は公証人となり、のちに聖職者となるが、信奉する宗教改革者ウィシャートGeorge Wishart(1513―1546)の火刑を契機に改革運動の指導者となる(1547)。フランス軍に捕らえられ、ガレー船で苦役に服しマリア崇拝を強制される(1547~1549)。釈放後はイングランドで宣教(1549~1554)、大陸に亡命してジュネーブで改革の現実を見聞、カルバンと親交を結び師事する。亡命者の教会で責任を果たす間に、統治者への反乱を起こす正当性を確信し、抵抗権神授論にたつ。1559年、混乱した祖国に戻り、国民を激励して宗教改革運動を成功させた。翌1560年エジンバラのセント・ジャイルズ教会の牧師として、改革派教会の樹立に努力し、1561年、カトリック女王メアリー・スチュアートのミサ施行に反対した。『スコットランド宗教改革史』History of the Reformation in Scotlandなどの著作がある。

[川又志朗 2018年1月19日]



ノックス(Philander Chase Knox)
のっくす
Philander Chase Knox
(1853―1921)

アメリカの弁護士、政治家。会社弁護士として著名であったが、マッキンリー、T・ルーズベルト両政府の司法長官(1901~1904)となり、トラスト訴訟で活躍し、商務労働省創設にも尽力した。連邦上院議員(1904~1909)を経てタフト政府の国務長官(1909~1913)に任命され、国務省機構改革を行い、中国とラテンアメリカで「ドル外交」を推進した。とくにその満州鉄道中立化案は有名。上院議員に再選され(1917~1921)、ベルサイユ条約に反対した。

[高橋 章]

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改訂新版 世界大百科事典 「ノックス」の意味・わかりやすい解説

ノックス
John Knox
生没年:1514?-72

イギリス,スコットランドの宗教改革者,カルバン派のスコットランド教会の創設者。ハディントン郊外に生まれ,セント・アンドルーズ大学を卒業。カトリック聖職者,公証人となるが,1545年宗教改革者でのちに殉教するG.ウィシャートと会って回心する。一時フランス軍の捕虜となったが,49-54年イングランドで宣教。メアリー1世の迫害を避けて大陸に亡命,主としてジュネーブに滞在してカルバンの親交を得た。59年帰国して宗教改革戦争に参加し,60年におけるスコットランド教会の樹立に貢献。死の直前までエジンバラのセント・ジャイルズ教会の牧師を務めた。61年にフランスから帰国したカトリック女王メアリー・スチュアートは宗教改革を認めなかったため,これと対決した。67年に女王が退位し,その子ジェームズ6世がプロテスタント王として即位したので,ノックスの宗教改革が認められた。その間《スコットランド宗教改革史》(1584)を執筆。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノックス」の意味・わかりやすい解説

ノックス
Knox, John

[生]1514頃.イーストロージャンス,ハディングトン
[没]1572.11.24. エディンバラ
スコットランドにおける宗教改革の指導者,歴史家。ピューリタニズムの創始者の一人,長老主義の先駆者。ルター主義者ウィシャートとの親交によって宗教改革者となり,ウィシャート処刑後,セントアンドルーズ城の説教者となった (1547) 。フランス軍による陥落後,奴隷として 19ヵ月間捕われ,49年春釈放されてイギリスにおもむき,エドワード6世の宮廷牧師になった。メアリー1世即位後はほかの宗教改革者とともに大陸に逃れ,ジュネーブでカルバンの影響を受けた。帰国し,宗教戦争 (59~60) における改革派の勝利ののち,エディンバラで改革派教会の制度づくりに尽力した。彼の抵抗権神授論は改革派教会の支えとなった。「スコットランド信条」や「礼拝規則書」を議会で批准させ,宗教改革の基礎を築いた。主著『スコットランド宗教改革史』 History of the Reformation of Religion in the realm of Scotland (84) 。

ノックス
Knox, Philander Chase

[生]1853.5.6. ペンシルバニア,ブラウンズビル
[没]1921.10.12. ワシントンD.C.
アメリカの法律家,政治家。 1877~1901年ピッツバーグで法律家として活躍。 01年 W.マッキンレー大統領の司法長官に任命され,トラスト規制に活躍。 04年ペンシルバニアから連邦上院議員に選出され,09年 W.タフト大統領の国務長官となり,ラテンアメリカ,東アジア,西アジアにおいて「銃弾に代えるにドルをもってする」いわゆる「ドル外交」を展開し,アメリカ資本の本格的海外進出を推進した。これにより,特にドルと海兵隊によってカリブ海地域を支配する政策が着実に実行された。 17年再び連邦上院議員。国際連盟の強力な反対者として知られた。

ノックス
Knox, Henry

[生]1750.7.25. アメリカ,ボストン
[没]1806.10.25. アメリカ,メーン,トマストン
アメリカの軍人,政治家。初代の陸軍長官。ボストンで書籍商を営んでいたが,独立戦争に際し大陸軍に参加。 1775年冬,ニューヨークのタイコンデロガ要塞から大砲など多数の武器を運び出し,凍てついたハドソン川を渡河して雪のなかをボストンに帰還。この武器によって大陸軍の砲兵隊をつくり,みずから少将として指揮をとり,イギリス軍のボストン包囲を解いた。 G.ワシントンから麾下の将軍中最も有能で信頼のおける人物として信任されていた。 85年連合規約のもとで初代の陸軍総監となり,続いてワシントン政権下でも陸軍長官をつとめた。

ノックス
Knox, Ronald Arbuthnott

[生]1888.2.17. キブワース
[没]1957.4.24. メルス
イギリスのカトリック神学者。アングリカンの家庭に生れる。 1910年オックスフォード大学の研究員,12年学生指導司祭。 17年カトリックに改宗,26~39年まで同大学のカトリック指導司祭。旧新約聖書を独力で英訳 (新約,1945刊,旧約,49刊) 。社会評論家としても活躍し,ほかに自叙伝,探偵小説も著わしている。

ノックス
NOx

窒素酸化物 NOxの総称。大気汚染物質としての窒素酸化物をさすときに使われる用語。おもに自動車の排ガス中に含まれる一酸化窒素 (NO) と二酸化窒素 ( NO2 ) が問題とされ,特に NO2光化学スモッグの原因とされている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ノックス」の解説

ノックス
John Knox

1505~72

スコットランド宗教改革者。一時,イングランドで活動。メアリ1世のカトリック反動の開始によって大陸に亡命。ジュネーヴでカルヴァンの教えを受け,1559年帰国。翌年,宗教改革を起こし,長老教会主義にもとづくスコットランド国教会を成立させた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ノックス」の解説

ノックス Knox, George William

1853-1912 アメリカの宣教師,教育家。
1853年8月11日生まれ。長老派教会宣教師として明治10年(1877)来日。伝道のかたわらヘボン塾,東京一致神学校(現明治学院大),帝国大学で哲学,神学などをおしえる。高知教会の設立に尽力した。26年帰国。1912年4月25日死去。58歳。ニューヨーク州出身。オーバン神学校卒。英訳書に新井白石の「折たく柴の記」など。

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百科事典マイペディア 「ノックス」の意味・わかりやすい解説

ノックス

英国スコットランドの宗教改革者。カトリックの聖職者だったが,1545年回心,メアリー1世の時代にはジュネーブに亡命,カルバンの親交を得た。1559年帰国,スコットランドに長老派教会を樹立した。主著《スコットランド宗教改革史》(1584年)。

ノックス

英国の作家,カトリック聖職者。国教会主教E.A.ノックスの子。オックスフォード大卒。1917年カトリックに改宗,ウルガタ聖書の英訳を行った。宗教的著作のほか,推理小説《陸橋殺人事件》(1925年)などがある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ノックス」の解説

ノックス
John Knox

1513ごろ〜72
スコットランドの宗教改革者
大陸亡命中,カルヴァンの影響を受けた。1559年帰国後,長老派議会を設立し,60年のスコットランド教会の樹立に大きく貢献した。

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世界大百科事典(旧版)内のノックスの言及

【改革派教会】より

…正式には〈神の言葉にしたがって改革された教会〉であるが〈改革された教会〉と略称する。スコットランドの宗教改革(J.ノックス)に起源をもつ教会は〈長老派教会〉と呼ばれるが,信仰内容と教会制度においては改革派と基本的に同一であり,会衆の中から選ばれた〈長老〉と牧師の会議が指導権をとり,一個人に権力を集中させない。初期指導者がすべて人文主義の出身であり,またこの派の地盤が主として西欧であったため,西欧の知的合理主義と対決折衝を重ね,西欧的民主主義の精神的基礎となる。…

【キリスト教】より

…とうぜん異端との対決もさけられず,リベルタン(自由思想家)や,人文主義者で反三位一体をとなえたセルベトゥスへの過酷な処置がめだった。1549年の〈チューリヒ協定〉によってスイス改革派教会の基礎が定まってからは,カルバンは母国フランスのユグノーを助け,あるいはノックスを支援してスコットランドに長老派教会をたて,ベーズを招いて各地の大学を建立ないし改革した。カルビニズムがネーデルラントに伝わったのは1571年以後で,《ベルギー信仰告白》を生んだが,国民主義の活発なこの地域では,預定説を緩和せんとするアルミニウス派との論争が示すように,従来の厳格な形を維持することができなかった。…

【宗教改革】より

…神の主権性を強調し,信徒の生活のきびしい倫理的規律を要求するカルバンの改革理念は,その不寛容のゆえにさまざまな反対勢力との闘争を余儀なくされたが,強靱な意志力をもってついにこの危機を切り抜けた。現世における〈神の栄光〉の実現をめざす行動主義は,反宗教改革の旗手たるイエズス会と戦闘的性格の点で類似しており,ジュネーブに創設された神学校は,スコットランドの宗教改革者ノックスをはじめ,多くの有能な宣教者の養成を通じて,プロテスタンティズムの拡大に大きな役割を果たした。カルビニズムは,伝統的社会秩序を重んずるルター派に比べると,資本主義的な営利活動の肯定,カトリックの君主に対する政治的抵抗を容認するなど,より自由主義的な性格をもっており,勤労者層のほか貴族の間にも支持を得て,フランスのユグノー戦争や,スペインの支配に対するネーデルラントの独立運動(八十年戦争)などで,その戦闘的なエネルギーを実証した。…

【スコットランド教会】より

…スコットランドへのキリスト教伝道は4世紀末のニニアンNinian,アイオナ島に修道院を建立したコルンバなどケルト系の宣教師によって進められたが,11世紀以降ローマ・カトリック教会の影響下に再編された。16世紀に入ると,宗教改革を導入しようとして火刑に処せられたハミルトンPatrick Hamilton,ウィシャートGeorge Wishartの遺志を継いだJ.ノックスによってカルバン主義に基づく改革が実現し,1560年〈スコットランド信仰告白〉と〈規律の書〉による長老主義教会が確立した。1603年以降ジェームズ1世がイングランド王を兼ねたため主教制が導入されたが,37年カンタベリー大主教W.ロードによる祈禱書押しつけに反発して立ち上がり,長期議会との間に厳粛同盟を結び(1643),〈ウェストミンスター信仰告白〉と〈ウェストミンスター教理問答〉を受理して長老派教会として再建した。…

【スコットランド信仰告白】より

…長老主義に立つスコットランド教会が制定した最初の信仰告白。J.ノックスらによって25ヵ条にまとめられ,1560年8月,スコットランド議会によって承認された。厳格なカルバン主義に基づき,聖書の絶対的権威,信仰義認,選びの教義を強調し,真の教会のしるしとして,神の言葉の説教,聖礼典の正しい執行,教会訓練の堅持を主張している。…

※「ノックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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