連合規約(読み)れんごうきやく(その他表記)Articles of Confederation

改訂新版 世界大百科事典 「連合規約」の意味・わかりやすい解説

連合規約 (れんごうきやく)
Articles of Confederation

アメリカ合衆国の州間の連合を定めた憲章で,1781年から連邦憲法制定で失効するまでの8年間存続した。アメリカ最初の連邦憲法とも呼ばれている。1776年に13の植民地がイギリスからの独立を決意したとき,同時に植民地間の連帯を独立後も維持するために同盟関係の樹立が図られた。原案は77年11月に大陸会議で採択されたが,西部の土地の帰属をめぐって州間に対立が生じ,最後の州メリーランド批准して発効したのは81年3月に至ってである。連合規約は第1条で連合の名称を〈アメリカ合衆国United States of America〉と定め,連合会議外交軍事,州間の関係等にわたる大幅な権限を認めていた。しかし,各州の主権を明記し法的には国家連合という性格をもっていたうえに,運営上も財政的に州政府が供出する分担金に依存し,人事面においても州政府が代議員の任免権を完全に握り,代議員は一定期間以上継続して務めることはできないと定められていた。
連邦制
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「連合規約」の意味・わかりやすい解説

連合規約
れんごうきやく

独立革命期のアメリカ13邦が制定した最初の成文憲法。1781年3月から89年3月の8年間にわたって新国家アメリカの基本法となった。独立戦争の開始後に諸邦連合の規定を成文化する必要が意識され、76年6月に各邦1名の委員によって起草委員会が組織され、翌7月「連合規約」案がつくられた。しかし、税の各邦への割当てに奴隷人口を算入するか否か、また中央政府としての連合会議での投票権を各邦一票とするか人口比とするか、などの点をめぐって対立が生じ、またとくに西方領土の帰属をめぐって大邦と小邦の利害が衝突し、これが各邦で批准されて発効するまでには3年余りを要した。最大の障害であった西方領土の請求権については、ニューヨークバージニア等の大邦が連合会議に移譲することを決め、最後まで抵抗していたメリーランドも81年3月に批准し、規約が発効した。

 規約の内容は、各邦が主権をもち、連合会議には外交・鋳貨・郵政・インディアン対策などの限定された行政権が委託される、というもので、その特色は、当時の国家の属性とみられた徴税権・通商統制権・常備軍の保有などを連合会議に禁じた点にあった。連合会議での投票権は各邦一票とし、規約改正には全会一致が必要で、分担金は白人人口を基礎に各邦に割り当てられた。しかし連合会議には強制力がなく、司法制度の欠如と相まって実際の施策のうえではきわめて非能率的なものとなり、合衆国憲法の制定へと向かうことになった。

[島川雅史]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「連合規約」の意味・わかりやすい解説

連合規約
れんごうきやく
Articles of Confederation

アメリカ独立戦争中の 1781年大陸会議でメリーランドの批准を最後に発効したアメリカ最初の憲法。 13邦 (→十三植民地 ) の国家連合の形態をとり,中央政府権限が大幅に制限されているのが特徴である。各邦 stateは主権,自由,独立を維持し,その邦で構成される中央連合会議の権限は,国防,外交,貨幣鋳造,インディアン対策などに限られていた。 89年憲法 (現行アメリカ合衆国憲法) がこれに代った。

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百科事典マイペディア 「連合規約」の意味・わかりやすい解説

連合規約【れんごうきやく】

1777年,独立を宣言した北米13州が連邦体制を法的に規定するために作成した規約。この規約の下では連邦の権限を制限し各州は独立と主権とをもつと定められた。1787年に合衆国憲法が作られ,連邦政府の権限が強化された。
→関連項目大陸会議

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世界大百科事典(旧版)内の連合規約の言及

【連邦制】より

…アメリカでは,1776年の大陸会議により独立宣言が起草・公布され,このときに13のイギリスの植民地がそれぞれ主権国家として独立を宣言した。77年,これら13の国家は連合規約articles of confederationを締結し,アメリカ合衆国The United States of Americaと称した。その後,87年に連邦憲法を制定し連邦制国家へと発展した。…

※「連合規約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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