マッキンリー(読み)まっきんりー(英語表記)William McKinley

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マッキンリー」の意味・わかりやすい解説

マッキンリー
まっきんりー
William McKinley
(1843―1901)

アメリカ合衆国第25代大統領(在任1897~1901)。1月29日オハイオ州に生まれる。南北戦争に従軍したのち、同州カントンにおいて弁護士を開業。1877年より91年まで(83~85年を除く)連邦下院議員を務めた。この間、90年には高率保護関税法であるマッキンリー関税法を提案し、その成立を得た。92年よりオハイオ州知事を2期務めたのち、マーカス・ハナの後援を得て、96年共和党大統領候補に指名された。選挙戦では、実業界あげての支援のもとに、「健全通貨」(サウンド・マネー。フリー・シルバーなどの通貨膨張論に反対する立場)と保護関税を唱えて、民主党ブライアンを破った。大統領在任中、未曽有(みぞう)の高率保護関税法であるディングレー関税法(1897)、金本位法(1900)などの制定を実現する一方、98年アメリカ・スペイン戦争を遂行し、フィリピン、プエルト・リコ、グアム、ハワイなどの併合を達成し、また、中国に対しては門戸開放政策を追求するなど、帝国主義列強としてのアメリカの地位を決定づけた。1900年再選を果たしたものの、01年9月14日アナキストにより暗殺された。彼は従来、弱い大統領との評価を受けてきたが、最近の研究によれば、むしろ、内政、外交両面において強い指導性を発揮し、しかも国内各利益の調和に意を用いた、いわば現代的大統領の端緒とされている。

横山 良]

『山本幹雄著『アメリカ帝国主義の形成』(1977・ミネルヴァ書房)』


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