日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイリル・アンワル」の意味・わかりやすい解説
ハイリル・アンワル
はいりるあんわる
Chairil Anwar
(1922―1949)
インドネシアの国民詩人。スマトラ島のメダン生まれ。ジャカルタのオランダ語中等学校中退。「45年世代」文学の先駆者である。インドネシア文学界の大御所アリシャバナによれば、ヨーロッパ(とくにオランダ)文学におけるペシミズムの影響が大きい、という。1943年発表の詩『おれ』Akuは形式、内容ともに斬新(ざんしん)で、古い価値観の否定、自我の確立を主題とする。代表的詩集に『埃(ほこり)の中の轟(とどろ)き』(1949)、『尖(とが)った砂利・奪われそして絶えるもの』(1949)がある。
[佐々木信子]
『舟知恵編・訳『ヌサンタラの夜明け――ハイリル・アンワルの全作品と生涯』(1980・弥生書房)』