ハウスマン(その他表記)Alfred Edward Housman

精選版 日本国語大辞典 「ハウスマン」の意味・読み・例文・類語

ハウスマン

  1. ( Alfred Edward Housman アルフレッド=エドワード━ ) イギリス詩人、古典文学者。民謡風な素朴な調子で青春の憂愁をうたった。代表作は抒情詩集シュロップシャーの少年」。(一八五九‐一九三六

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改訂新版 世界大百科事典 「ハウスマン」の意味・わかりやすい解説

ハウスマン
Alfred Edward Housman
生没年:1859-1936

イギリスの古典学者,詩人。ウスターシャーの小村に生まれ,1877年オックスフォード大学に入学し,古典学を学んだが,81年卒業試験に失敗して退学した。翌年官吏資格を取得し,ロンドンに出て特許局に勤めた。かたわら大英博物館図書室を書斎代りに用い,ギリシア・ラテン文学のテキスト校訂に関する論考を学術雑誌に投稿して学界で名を成し,92年ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのラテン語教授に採用され,1911年にはケンブリッジ大学ラテン語正教授となった。ラテン語学から古代占星術に至る豊富な学識を注ぎこみ,私費を投じて刊行したマニリウス《天文譜》校訂版(1903-30)や,ユウェナリス(1905)とルカヌス(1926)の校訂などがおもな業績で,他に全3巻の《古典学論集》(1972)にまとめられた小論文がある。彼は当時のイギリス学界のロマン派的風潮に乗った文芸談義にもドイツの科学主義的テキスト校訂学にも背を向け,文学と古典学を峻別して,無味乾燥とみずから認めるテキスト校訂作業に労力を傾注した。この彼の姿勢は,学問上の不誠実さを指弾する時の筆の鋭さもあいまって評判を呼んだが,詩集《シュロップシャーの若者》(1896)と《最新詩集》(1922)を発表して詩人として著名になった後も,英文学の講座は固辞し,本業の古典学でも専門技術的講義のみで文学そのものは扱おうとしなかった。
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ハウスマン
Raoul Hausmann
生没年:1886-1971

オーストリア出身の画家,写真家。フォトモンタージュ創始者の一人。ウィーンに生まれ,ベルリンで表現主義運動に参加する。1918年以後ダダ運動に転じ,《ダダ》誌を編集。また視覚・音声詩を開拓し,27年には音波と光波を照応させる機械〈オプトフォンoptophone〉を発明。33年以来亡命の旅に出,44年フランスのリモージュに定住。その間写真とそのフォトモンタージュを継続。孤独と亡命の生涯を笑いを含むダダの即物精神で貫いた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハウスマン」の意味・わかりやすい解説

ハウスマン
Housman, Alfred Edward

[生]1859.3.26. ウースターシャー,フォックベリー
[没]1936.4.30. ケンブリッジ
イギリスの古典学者,詩人。オックスフォード大学古典文学科の卒業試験に失敗,特許局の官吏となり,以後 11年間,夜間に大英博物館の図書室で独学に励んで独自の学問的業績を達成,念願のラテン文学教授としてロンドンのユニバーシティ・カレッジ,ケンブリッジ大学に奉職。マニリウスの『星をめぐって』 Astronomicaの定本完成,ユウェナリスやルカヌスの本文校訂などにより第一級の学者として認められた。一方『シュロップシャーの若者』A Shropshire Lad (1896) ,『最終詩集』 Last Poems (1922) ,『拾遺集』 More Poems (36) に収められた百五十余編の詩によって,世紀末からジョージ朝にかけての特異な詩人としての地位を確立,また『詩の名称と本質』 The Name and Nature of Poetry (33) などにより詩論家としても重視された。

ハウスマン
Hausmann, Manfred

[生]1898.9.10. カッセル
[没]1986.8.6. ブレーメン
ドイツの詩人,小説家。第1次世界大戦で負傷。ミュンヘン,ハイデルベルクで学び,商人ジャーナリストを経て文学活動に入った。初めは厭世的で,ニヒリズムの傾向が強かったが,次第にキルケゴールや K.バルトの影響を受けて宗教色の濃い作風に移行。詩人ではアイヘンドルフやシュトルムの影響を受けた。日本の短歌を自由訳して紹介したことでも有名。少年冒険小説『ハーモニカを持ったアベル少年』 Abel mit der Mundharmonika (1932) ,詩集『愛の迷路』 Irrsal der Liebe (60) ,『金糸の織込まれたベール』 Der golddurchwirkte Schleier (83) など。

ハウスマン
Housman, Laurence

[生]1865.7.18. ウースターシャー,ブロムスグローブ
[没]1959.2.20. サマセット,グラストンベリー
イギリスの作家,挿絵画家。 A.E.ハウスマンの弟。匿名で出した『あるイギリス婦人の恋文』 An English Woman's LoveLetters (1900) で好評を博して以来,『プルネッラ』 Prunella (06) ,『聖フランシスの小劇』 Little Plays of St. Francis (22) などの戯曲や,『トリンブルリッグ』 Trimblerigg (24) などの風刺小説を多作,C.ロセッティの『妖魔の市』その他の挿絵でも有名。

ハウスマン
Hausmann, Raoul

[生]1886.7.12. ウィーン
[没]1971.2.1. リモージュ
オーストリアの画家,写真家。ベルリン美術学校で学んだのちイラストレーター,美術評論家として活躍。 1918年 G.グロッス,J.バーデル,H.リヒターらとベルリンでダダの運動を起し,その中心的役割をになった。 19年雑誌『デア・ダダ』を創刊,またフォトモンタージュを始めた。 23年油絵を放棄し主として写真に専念。 33年フランスに亡命し,没するまでフランス各地を転々とした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハウスマン」の意味・わかりやすい解説

ハウスマン(Manfred Hausmann)
はうすまん
Manfred Hausmann
(1898―1986)

ドイツの小説家、劇作家、エッセイスト。カッセル生まれ。第一次世界大戦に従軍し負傷して帰還。牧歌小説『ランピオーン』で文名をあげるが、1938年神学者カール・バルトと出会い生涯プロテスタントの転機を迎え、宗教的作風に変わる。5歳の子を主人公とする物語『マルティーン』(1949)は第二次世界大戦後の読書界に迎えられ、『ボルプスベーデの牧人劇』(1946)はドイツの数百の教会で祝祭劇として上演されている。ほかに詩集『互いに』(1946)。

[小塩 節]


ハウスマン(Alfred Edward Housman)
はうすまん
Alfred Edward Housman
(1859―1936)

イギリスの詩人、古典学者。ロンドン大学、ケンブリッジ大学のラテン語教授を務め、イギリス屈指の古典学者の1人に数えられる。またギリシア叙情詩に通じ、厳しく抑制された詩作『シュロップシャーの若者』(1896)で知られる。失意と厭世(えんせい)観が特色で、自然描写がみごとである。

[早乙女忠]

『星谷剛一訳『ハウスマン全詩集』(1976・荒竹出版社)』

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百科事典マイペディア 「ハウスマン」の意味・わかりやすい解説

ハウスマン

英国の詩人。ジョージ朝詩人の一人。詩集《シュロップシャーの若者》(1896年),《最後の詩集》(1922年)が有名。古典文学者としてもすぐれ,ケンブリッジ大学教授。

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世界大百科事典(旧版)内のハウスマンの言及

【オブジェ】より

…デュシャンは13年以後,量産の日用品を加工も変形もせず作品化する〈レディ・メード〉で,一品制作の手仕事による個性やオリジナリティの表現という,近代芸術の理念にアイロニカルな批判をつきつけ,ピカビアの〈無用な機械〉と名づけた立体や絵画も,機械のメカニズムをとおして人間や芸術を冷笑した。第1次大戦中におこったダダは,これらの実験を総合し,アルプやハウスマンの木片のレリーフ状オブジェや,シュウィッタースのがらくたを寄せ集めた〈メルツMerz〉,エルンストの額縁に入った金庫のようなレリーフ状作品などで知られる。ロシア,オランダの構成主義の,幾何学的構成物も見のがせない。…

【モンタージュ】より

…20世紀初頭にベルリンのダダイストは,この大衆的娯楽の浸透に〈反芸術〉へのひそかな刺激を見いだしたのである。 ベルリン・ダダにおけるフォトモンタージュは,J.ハートフィールドG.グロッスR.ハウスマンとハンナ・ヘーヒHannah Höch(1889‐1978)という2組のグループによって別々に,ほとんど同時期につくりだされたと思われる。その萌芽は第1次大戦末期にあり,展開は1920年代の初めである。…

※「ハウスマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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