リモージュ(読み)りもーじゅ(英語表記)Limoges

翻訳|Limoges

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リモージュ」の意味・わかりやすい解説

リモージュ
りもーじゅ
Limoges

フランス南西部、リムーザン地方の中心都市。オート・ビエンヌ県の県都。ビエンヌ川河畔に位置する。人口13万3968(1999)、13万3627(2015センサス)。行政、商業、文化の中心地であるが、18世紀に付近で陶土が発見され、以後陶磁器の産地として有名である。ほかに機械、靴、繊維、紙などの工業も発達している。町の歴史はローマ時代にさかのぼり、ガリアの一部族レモビケスLémovicesの首都であった。3世紀に聖マルシャルSaint Martialによってキリスト教がもたらされ、スペインの聖地サンティアゴ・デ・コンポステラへ向かう巡礼者が立ち寄った。9世紀に修道院ができ、町はその周囲にも拡大した。13世紀にエナメル細工が発達したが、16世紀に宗教戦争で町は荒廃し、エナメル細工は衰えた。しかし18世紀に中国製品の導入による陶磁器生産で繁栄を取り戻した。ゴシック様式の司教座教会サンテティエンヌ教会(13~19世紀)や、15世紀のステンドグラスがあるサン・ミシェル・デ・リオン教会(14~15世紀)、13世紀の橋、陶磁器を中心とするアドリアン・デュブシェ博物館などがある。

[青木伸好]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リモージュ」の意味・わかりやすい解説

リモージュ
Limoges

フランス中部,オートビエンヌ県の県都。マシフサントラル (中央山地) の西部に開けた谷の中央,ビエンヌ川沿岸に位置する工業都市。ケルト人の一部族レモビス人の中心集落として古代から知られた町で,5世紀に異民族の侵入により破壊されたがまもなく再建中世にはエマイユ (七宝細工) と金細工で知られた。疾病飢饉,宗教戦争などによって 16世紀までにはすっかり疲弊したが,18世紀には繁栄を取戻した。産業は 18世紀に興隆したサンティリエの陶土による陶器が有名であるが,近代に入って機械工業なども導入され,国営兵器工場もある。ほかに繊維製品,靴なども国内有数の生産地として知られ,化学・食品工業も盛ん。 13世紀に建造された聖エティエンヌ大聖堂,ビエンヌ川にかかる2つの橋,高い塔と 15世紀のステンドグラスのある聖ミシェルデリヨン聖堂,12世紀以来のエマイユのコレクションで知られる市立博物館,アドリアンデュブーシェ国立陶芸美術館などがある。画家 P.ルノアールの生地。人口 14万138(2008)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android