ハドフィールド(読み)はどふぃーるど(その他表記)Sir Robert Abbott Hadfield

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハドフィールド」の意味・わかりやすい解説

ハドフィールド
はどふぃーるど
Sir Robert Abbott Hadfield
(1858―1940)

イギリス冶金学者(やきんがくしゃ)。シェフィールドの製鋼業者の家に生まれる。生地の学校で学んだのち、父の工場に研究所を建てて研究を行い、24歳のときから父の企業を継いで冶金技術の進歩に貢献した。1882年のマンガン鋼の開発、1900年のケイ素鋼発明はとくに有名であり、両者とも彼自身によって工業化された。ケイ素鋼はのちに電気機器製作に欠かせない重要な材料となった。金属および金属加工の歴史にも興味をもち研究、1908年ナイトに叙せられた。

山崎俊雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ハドフィールド」の意味・わかりやすい解説

ハドフィールド
Robert Abbot Hadfield
生没年:1858-1940

イギリスの冶金学者,工業家。アッタークリフに生まれ,シェフィールドの大学で学んだ後,鋳造業を営む父のしごとを継ぐ。実験室を作りみずから鉄合金の系統的研究に着手,1882年に〈マンガン鋼〉,99年に〈ケイ素鋼〉を発明した。冶金の歴史にも関心をもち,ローヤル・インスティチューションに保存されていたM.ファラデーとストダートJames Stodartの作った合金(1818-22年製)を分析,《ファラデーと冶金研究》(1931)を刊行した。このほか主著《冶金学とその現代進歩への影響》(1925)がある。
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世界大百科事典(旧版)内のハドフィールドの言及

【ダダ】より

… 一方,同じころニューヨークでは,1913年の〈アーモリー・ショー〉に,《階段をおりる裸体》を出品して反響を呼び,17年レディ・メイドの便器(《泉》と題される)を出品して物議をかもしたM.デュシャン,〈無用な機械〉シリーズで知られるマン・レイ,13年写真家スティーグリッツの画廊〈291〉で個展を開き,18年秋チューリヒに赴きツァラと意気投合する反芸術の闘士ピカビア,騒音音楽のバレーズらがダダ的サークルを形づくっていた。 17年1月ベルリンに戻ったヒュルゼンベックは,フォトモンタージュの名人ハウスマンとその恋人ハンナ・ヘーヒHannah Höch(1889‐1978),戦争中排外主義を嫌って英語風に改名した,政治的フォトモンタージュ作家ジョン・ハートフィールドと弟の編集者ウィーラント・ヘルツフェルデ,軍人とブルジョアを風刺する画家グロッス,ざれ歌詩人メーリングらとともに,18年4月〈ベルリン・ダダ〉を結成した。やがて彼らは,敗戦革命のなかで,反芸術と政治的宣伝を直結させる。…

【風刺画】より

… 20世紀になり,ベルリン・ダダの中心人物G.グロッスは第1次大戦後,反軍国主義,反資本主義の思想を表明するために,〈政治的,破壊的な風刺〉に奉仕した。彼と共同制作をしたこともあるJ.ハートフィールドはフォトモンタージュ(モンタージュ)という武器によって,社会の不正やナチスの暴挙を告発し,第2次大戦後は東ドイツで活躍して,ブレヒトの戯曲などのために舞台意匠も手がけた。フランス出身のアンゲラーTomi Ungerer(1931‐ )は絵本の制作や文筆のかたわら,素描家としてセックス・マシンと戯れる女性たちによって〈愛の不毛時代〉をユーモラスに描く。…

【モンタージュ】より

…20世紀初頭にベルリンのダダイストは,この大衆的娯楽の浸透に〈反芸術〉へのひそかな刺激を見いだしたのである。 ベルリン・ダダにおけるフォトモンタージュは,J.ハートフィールドG.グロッスR.ハウスマンとハンナ・ヘーヒHannah Höch(1889‐1978)という2組のグループによって別々に,ほとんど同時期につくりだされたと思われる。その萌芽は第1次大戦末期にあり,展開は1920年代の初めである。…

【ワイマール文化】より

… 他方,表現主義以上に否定性を徹底させ,もはや〈芸術〉の革命ではなく,市民社会の崩壊意識そのものを一つの運動体として破壊的に体現したのが,〈すべてに対するアンチ〉を旗印とするダダイズム(ダダ)であった。〈プロパガンダ〉として絵画を市民社会の実相の暴露に変えたG.グロスや,コラージュの手法を闘争の武器に変えたハートフィールドは,アバンギャルドがワイマール共和国の混沌の中で体現した一つの極点を示している。 ワイマール文化の中で国際的にもっとも大きな影響を及ぼしたのは,〈バウハウス〉運動を核とするドイツの建築・都市計画の新しい成果だった。…

※「ハドフィールド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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