パイル(その他表記)Ernie Pyle

デジタル大辞泉 「パイル」の意味・読み・例文・類語

パイル(pile)

織物の表面をおおっている輪奈わな毛羽けば
土木・建築の基礎工事で打ち込むくい
原子炉

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精選版 日本国語大辞典 「パイル」の意味・読み・例文・類語

パイル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] pile )
  2. 織物の表面の輪奈(わな)や毳(けば)。また、パイル織物
    1. [初出の実例]「ルミは純白のパイルのトッパーから、黒いジャジーのスカートを覗かせながら」(出典:女給夕子の一生(1956)〈井上友一郎〉一)
  3. 建築・土木の基礎工事で打つ杭。
    1. [初出の実例]「電気じかけのハンマーで、パイルを打ちこむ」(出典:変痴気論(1971)〈山本夏彦〉転宅)
  4. ( [英語] atomic pile の略 ) 原子炉。〔原子力の将来(1947)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「パイル」の意味・わかりやすい解説

パイル
Ernie Pyle
生没年:1900-45

アメリカのジャーナリスト。優れた戦争報道で著名。本名Ernest Taylor Pyle。インディアナ州のダナの生れ。大学修学中から新聞記者の道に入り,地方新聞をふりだしに転々としたが,現場を駆け回って取材したありのままの報道が認められて,1935年ころからロービング・レポーター(移動報道員)として一流日刊紙のコラムを担当するようになった。第2次大戦が始まると,猛爆下のロンドン北アフリカイタリアおよびノルマンディーの各作戦に従軍,つねに前線の将兵と行動を共にして,リアルな報道を続けた。44年太平洋戦場に移り,翌45年4月沖縄上陸作戦取材中,隣接する伊江島で戦死した。同地にはその死をいたんだアメリカ兵たちが建てた記念碑がある。44年ピュリッツァー賞を受賞している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パイル」の意味・わかりやすい解説

パイル
pile

織物表面をおおう柔らかい立毛,総 (ふさ) ,輪奈 (わな) ,毳 (けば) のこと。また,これらのあるパイル織 (添毛織) をさす。織物の表面に織り立てた毛総を切ったカットパイルと,切らずに輪奈にしたままのアンカットパイルがある。カットパイルにはビロード別珍,シール,アストラカンモケット絨毯などがあり,アンカットパイルではタオルが代表的である。厚地で弾力性があり,保温性,断熱性,吸音性がよく,耐摩耗性などの特色をもち,手ざわりがしなやかである。毛織,絹織,綿織,化繊織物などに利用され,敷物,椅子張地,カーテン,防寒用衣料,儀礼服などのほか,工業用として,断熱材料,フィルタなどに使われる。

パイル
Pyle, Howard

[生]1853.3.5. デラウェア,ウィルミントン
[没]1911.11.9. イタリア,フィレンツェ
アメリカのイラストレーター画家童話作家。ニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグに学び,世紀末のアール・ヌーボー様式の時期に新聞,雑誌,小説,童話に多くの挿絵を描いた。また,自身で童話を書き,みずから挿絵を描いた絵本を制作した。主要作品 (文,挿絵とも) 『ロビン・フッドの愉快な冒険』 The Merry Adventures of Robin Hood (1883) ,『銀の腕のオットー』 Otto of the Silver Hand (1888) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パイル」の意味・わかりやすい解説

パイル(Howard Pyle)
ぱいる
Howard Pyle
(1853―1911)

アメリカの児童文学作家。デラウェア州のクェーカー教徒の家に生まれ、教養豊かな母の影響で幼時から書物や絵画に親しんで育った。美術学校で学んだのち、挿絵入りの印象記を出版社に送ったところ、まず絵のほうが認められ、ニューヨークで挿絵画家として成功した。作家としての出発は、デラウェアに戻ったのちの1883年に出版した『ロビン・フッドのゆかいな冒険』で、以後、イギリスのフェアリー・テイルや、中世を題材にした歴史物語などを書き続けた。作品にはすべて自らの挿絵を添えることにより挿絵の重要さを世人に認識させ、同時にこの面での後進の指導にもあたった。

[掛川恭子]

『村山知義・村山亜土訳『ロビン・フッドのゆかいな冒険』(1971・岩波書店)』


パイル(織物)
ぱいる

添毛(てんもう)、輪奈(わな)ともいい、経(たて)糸または緯(よこ)糸で地組織しているなかに、毛経(けだて)あるいは毛緯(ぬき)を織り込み、生地(きじ)の片面または両面に輪奈を浮かせたりする。この輪奈を総(ふさ)またはパイル毛ともいい、そのままで使うこともあるが、輪の真ん中をナイフで切り開いて毛羽を出すこともある。パイルを出した織物は、ビロード、別珍、コーデュロイ、テリー織など多種あるが、厚地で弾力性があり、柔軟性に富むので、それぞれの用途に向けられる。

[角山幸洋]


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