日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロビン・フッド」の意味・わかりやすい解説
ロビン・フッド
ろびんふっど
Robin Hood
イギリスの伝説的英雄。実在の人物か、中世のバラッドがつくった人物か、出自については諸説がある。12世紀ごろシャーウッドの森にリトル・ジョンやタック修道士らの仲間と住み着き、悪代官や横暴なノルマン貴族、僧侶(そうりょ)から金品を奪い、貧者に分け与えたと伝えられる。みごとな長弓の腕前や、貧者に施す義賊ぶり、牧歌的な森の生活が共感をよび、イギリスでもっとも人気のある民衆的英雄。15、16世紀には恋人のメイド・マリアンとともに、五月祭の立役者にもなった。バラッドや劇、小説、童話、映画などで、その勇壮な冒険が繰り返し扱われている。ロビンを貴族化したアントニー・マンディの劇『ハンティントン伯爵ロバートの没落』と『ロバートの死』(ともに1598)や、W・スコットの『アイバンホー』、デュマの小説、ハワード・パイルの童話(1883)などが有名。
[上野美子]
『小倉多加志訳注『ロビン・フッドの冒険』(1972・南雲堂)』▽『H・パイル著、村山知義訳『ロビン・フッドの愉快な冒険』(岩波少年文庫)』▽『上野美子著『ロビンフッド伝説』(1988・研究社出版)』