パウサニアス(ギリシアの旅行家、地理学者)(読み)ぱうさにあす(英語表記)Pausanias

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

パウサニアス(ギリシアの旅行家、地理学者)
ぱうさにあす
Pausanias

生没年不詳。紀元後150年ころのギリシアの旅行家、地理学者。リディア出身と思われる。ギリシアに来訪する以前にも、小アジア、パレスチナエジプトなど広く旅行したが、アッティカをはじめとし、ギリシア本土各地の名所旧跡を詳細に踏査して、10巻よりなる『ギリシア案内記』Periegesis tes Helladosを著した。本書はギリシアの重要なポリスの歴史や地理を叙述しているが、著者の関心はもっぱら各地の遺跡や記念物、それらにまつわる伝説、宗教行事にあった。とくに、オリンピアデルフォイの建造物やマラトン、プラタイアイの古戦場の描写にさえた筆致がみられる。彼の記述はきわめて正確で、古代遺跡の研究に不可欠の資料となっている。

[真下英信]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例