ロザリオ(その他表記)rosary

翻訳|rosary

デジタル大辞泉 「ロザリオ」の意味・読み・例文・類語

ロザリオ(〈ポルトガル〉rosário)

カトリック教徒が祈りのときに用いる数珠じゅず様の輪。大珠6個、小珠53個を鎖でつないで輪状とし、十字架をつないだもの。コンタツ
1の珠を繰りながら唱える祈り。ロザリオの祈り。

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精選版 日本国語大辞典 「ロザリオ」の意味・読み・例文・類語

ロザリオ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ポルトガル語] rosário )[ 異表記 ] ロザリヨ・ロザイロ キリスト教、ローマ‐カトリック教徒が祈りを数えるために用いる数珠(じゅず)のようなもの。
    1. [初出の実例]「御ははさんたまりやへたいし奉り、百五十ぺんのろざいろ」(出典:どちりなきりしたん(一六〇〇年版)(1600))

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改訂新版 世界大百科事典 「ロザリオ」の意味・わかりやすい解説

ロザリオ
rosary

カトリック教会の用語で,次の二つの意味がある。

(1)キリスト生涯の15のおもなできごとを,救いの秘義として〈喜び〉と〈苦しみ〉と〈栄光〉の3種に分け,各秘義にそれぞれ〈主の祈り〉1回とアベ・マリア10回を唱えながら黙想する祈りの方法。ロザリオという名称はキリシタン時代から用いられ,原語であるラテン語rosariumは,〈ばらrosaで編まれた花冠〉の意。これは,15の〈主の祈り〉と150のアベ・マリアが,主キリストの15の秘義と,マリアにたとえられる教会の織り成す祈りの花輪になぞらえられたことによる。修道院で発展した時課(聖務日課)が教会の祈りとしてすべての人に考えられようとしたとき,まだ文盲の多かった西欧中世に,《詩篇》150篇の代用として15の〈主の祈り〉と150のアベ・マリアが考えられ,大衆信心として普及したことは自然のなりゆきであった。他方,一定の簡単な言葉をリズムに乗せて唱える東方教会の〈イエズスの祈り〉の伝統が,西方に伝わってロザリオの祈りに発展したとみることもできる。

 アベ・マリアは最も代表的な聖母賛歌であるが,その前半は《ルカによる福音書》にみられるお告げの天使の祝詞(1:28)と,親族エリサベツからマリアへの挨拶の言葉(1:42)からなっていて,東方では6世紀から,西方では7世紀から祈りに用いられた記録がある。11世紀から西欧でしだいに大衆の祈りとして広まり,15世紀になって前半の言葉に加える50のキリストの生涯のできごとを表す言葉ができたが,やがてこれが15の秘義にまとめられ,ドミニコ会をはじめロザリオ兄弟会(1470創立)によって普及し,16世紀にはロザリオの祝日もできた。アベ・マリアに後半が加えられたのは15世紀のことであって,現在の歌詞に統一されたのは,《ローマ聖務日課》(1568)の規範版の本文による。

(2)ロザリオの祈りに用いる数珠(じゆず)状の信心用具。キリシタン時代には〈コンタツ〉とも呼ばれた。原語はポルトガル語contasで〈量る〉〈数える〉の意。大珠五つと小珠50を,大一つと小10に分け,鎖または紐でつなぎ合わせて環状に結んだもの。大珠を〈主の祈り〉に,小珠をアベ・マリアを10回数えるために用いる。後に,信仰,希望,愛を表す小珠三つと大珠一つを加え,十字架なども付けるようになった。これを用いるには,初めに使徒信条,次に〈主の祈り〉と3回のアベ・マリアを唱え,栄唱で結ぶ。キリストの生涯の秘義を黙想するには,それぞれ大珠で〈主の祈り〉,小珠でアベ・マリア10回を唱え,栄唱で結ぶ。これを1留といい,5留で一周することを1環と呼ぶ。したがって,15の秘義は,〈喜び〉と〈苦しみ〉と〈栄光〉の秘義の3環となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロザリオ」の意味・わかりやすい解説

ロザリオ
ろざりお
Rosarium ラテン語

カトリック教会で典礼以外の祈祷(きとう)に使われる数珠(じゅず)風の道具。大珠6、小珠53を鎖でつないで輪状にし、下に十字架をつないだもので、ロザリオの鎖(コンタス・コンタツ)ともよばれる。ロザリオとは本来バラの花冠のことで、「聖母へ霊的なバラの花冠を捧(ささ)げる」という精神を示す。祈りは、大珠の部分を指でつまみ「主の祈り」を唱え、小珠10個を繰りながら「天使祝詞」を10回唱え、栄誦(えいしょう)を1回唱えて終わる。これを一連とよび、これを5回繰り返すことを一環(串(かん))とよぶ。この五連一環を3回繰り返すのが、正式のロザリオの祈りである。これを唱えながら、キリストおよび聖母の生涯を黙想する。黙想は「ロザリオの十五玄義」mysteriumに基づく。すなわち喜びの玄義、苦しみの玄義、栄えの玄義の三部構成で、その各部は五つに分かれている。一例をあげれば、喜びの玄義の第一は「お告げ」であり、神が大天使ガブリエルをマリアのもとに遣わして、救いの計画を告げる(受胎告知)。この玄義を黙想しながら、マリアに倣って、神の意志を受け入れる恵みを願うのである。

 この祈りの方法を教え広めたのは聖ドミニコといわれるが、伝説にすぎない。中世の初めから、「主の祈り」を数回唱え、小石や種子を使ってその数を勘定したことが行われており、それがマリア信心と結び付き、数世紀かかって現代の形にまで発展したとみるべきであろう。この信心業の拡大にドミニコ会員が大いに貢献したことは事実である。「ロザリオの教皇」といわれたレオ13世をはじめ、多くの教皇によって奨励され、ロザリオは民衆の信心を深めるために大いに役だった。

[門脇佳吉]

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百科事典マイペディア 「ロザリオ」の意味・わかりやすい解説

ロザリオ

カトリック教会用語で,ラテン語ではrosarium。(1)祈りの方法。キリストの生涯の15の出来事を3種に分け,おのおの〈主の祈り〉1回とアベ・マリア10回を唱えて黙想する。(2)上記祈りのための数珠状の用具。キリシタン時代には〈コンタツ〉とも。大珠5,小珠50からなり,祈りの回数を確認するのに用いる。
→関連項目数珠

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世界大百科事典(旧版)内のロザリオの言及

【くる病(佝僂病)】より

…手首やひざの関節のX線写真を見ると,骨端部は石灰沈着がない部分があるために骨端線はぼやけて先が広がり杯状に見える。前胸部を見ると肋骨の端がまるく膨れて数珠のように並んでいるのが見える(肋骨念珠rosary)。
[治療]
 ビタミンDとカルシウム,リンの十分な補給である。…

【装身具】より

… 安土・桃山時代は,ポルトガル人をはじめ南蛮と呼ばれたヨーロッパ人が渡来し,服飾や甲冑にも南蛮趣味が流行した。その中で装身具として顕著なものはロザリオである。キリスト教徒でない者までが首にロザリオをかけ,腰に十字架を下げた。…

※「ロザリオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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