改訂新版 世界大百科事典 「パオズ」の意味・わかりやすい解説
パオズ (包子)
bāo zi
中国料理の点心の一種。小麦粉にイースト(中国では老麵という天然の酵母と乳酸菌の混じったものを用いる)や砂糖を加えてこねた生地で,肉,野菜,エビ,キノコなどでつくった餡(あん)を包んで蒸したもの。いったゴマやラードを加えて練ったアズキ餡を入れたものを豆沙包子という。ギョーザと似ているが,ギョーザは煮,焼,蒸など加熱法が多様であるのに対し,包子は蒸すだけであり,またギョーザの皮にはイーストは用いない。日本では中華まんじゅうと呼びならわしているが,中国の〈饅頭(マントウ)〉は具の入らない蒸しパンである。《中文大辞典》では,北方の人は,餡の入った饅頭を包子という,と説明している。北宋の《東京夢華録》に初めて包子の語が見え,元代の《居家必用事類全集》には魚包子や包子,ギョーザの皮のつくり方が出ている。天津の狗不理包子は,偏屈な包子職人のあだ名をつけたもので中国全土に知られている。三丁包子(豚,鶏肉,干しエビ,キノコのうち3種を豆粒大に切って包む),肉,キノコ,干しエビを包む三鮮包子,カニ肉を包む蟹黄包子など,包み込むものによって種類と名称は多様である。
執筆者:田中 静一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報