改訂新版 世界大百科事典 「ギョーザ」の意味・わかりやすい解説
ギョーザ (餃子)
jiǎo zi
中国料理の点心の一種。〈ギョーザ〉という語音は山東省の語音〈ギョウズ〉に由来する。もともと中国東北地方でつくられ,食されていたもの。満州族が清朝を樹立した時に持ち込み,馬蹄銀(元代末から商取引に用いられた銀塊)に形が似ているためめでたいものとされ,以後華北地方を中心に普及した。華北地方では日本の餅と同じように正月や節日,冠婚葬祭などに必ず供される。近年は広東など南方にも広がりつつある。小麦粉(強力粉)を水でこねて薄く円形にのばした皮の中に,豚ひき肉,細かく刻んだハクサイ,ニラ,ニンニクなどにしょうゆやゴマ油を加えてよく混ぜ合わせたあんを包みこみ,半円形にしたもの。日本では油をひいてなべで焼く焼きギョーザが多いが,中国ではゆでた水餃子や蒸した蒸餃子がほとんどである。好みに応じて酢,しょうゆ,辣油(ラーユ)などをつけて食べる。戦前にはほとんどみられなかったが,第2次世界大戦後,中国大陸からの引揚者によって全国に広まった。
執筆者:田中 静一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報