パラリンピック

デジタル大辞泉 「パラリンピック」の意味・読み・例文・類語

パラリンピック(Paralympics)

国際身体障害者スポーツ大会。4年に1回、オリンピック開催地で行われ、運動機能障害や視覚障害などをもつ選手が参加する。IPCが主催。第1回は1960年にローマで開催された。陸上競技や水泳、サッカーなどのほか、アイススレッジホッケーボッチャなどの種目がある。
[補説]当初は脊椎せきつい損傷により車椅子を利用する選手のための大会だったので、paraplegia(脊椎損傷者)とOlympicsとの合成語として名づけられた。現在、国際パラリンピック委員会IPC)では、パラ(para-)を「~のそばに、~と並んで」を意味するギリシャ語の前置詞とし、オリンピックと並行して開催される競技大会であることを意味する、としている。

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精選版 日本国語大辞典 「パラリンピック」の意味・読み・例文・類語

パラリンピック

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] Paralympic Games から ) 障害者の国際的な総合スポーツ大会。夏季冬季の大会があり、オリンピックと同年に同開催地で行なわれる。一九四八年にロンドンのストーク‐マンデビル病院で脊椎損傷者のために開かれた競技会に始まる。

パラリンピックの語誌

元来は、「[英語] paraplegia(下半身不随)+[英語] Olympics」からの造語で、昭和三九年(一九六四)の東京大会で初めて用いられたが、当時の正式名称は「国際ストーク‐マンデビル競技会」。一九八八年のソウル大会から正式に大会名称に使われるようになり、この時の Para- は「もう一つの」と解釈され、翌年の国際パラリンピック委員会の設立以降「もう一つのオリンピック」と位置づけられている。

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百科事典マイペディア 「パラリンピック」の意味・わかりやすい解説

パラリンピック

(1)国際パラリンピック委員会が主催する身体障害者を対象とした国際スポーツ大会。当初はパラプレジア(下半身麻痺)とオリンピックとを合成した語で,正称は〈麻痺者のための国際ストーク・マンデビル競技会〉だったが,下半身不随者以外も参加することになったことから,1988年のソウルオリンピック以降は,〈もうひとつの(parallel)〉のオリンピックという意味でのパラリンピックとなった。1948年,英国ロンドン郊外のストーク・マンデビル病院脊髄損傷センター所長グッドマンが,患者の回復にスポーツの効能を認めて車いすによる競技会を提唱して始められた。競技会は毎年行われていたが,1960年以降は4年に1度オリンピック大会開催の年にその開催地で行われるようになった。1998年2月には,長野オリンピックにつづいて開催され,史上最多の32ヵ国が参加した。2013年9月,第125次IOC総会ブエノスアイレスで開催)で,東京は,イスタンブールマドリッドを押さえて2020年の第32回夏季オリンピック・パラリンピック大会の開催地に選ばれた。オリンピック開催予定は同年7月24日〜8月29日でパラリンピックはこれに引き続いて行われる。(2)日本国内では〈全国身体障害者スポーツ大会〉の通称。身体障害者がスポーツを通じて体力の維持,増強を図るとともに国民の身体障害者に対する理解関心の増進を図り,障害者の自立と社会参加の促進に寄与することを目的とする。1965年以来毎年,国民体育大会の直後に開催されている。ちなみに1992年以来〈知的障害者スポーツ大会〉(通称ゆうあいピック)も開催されており,国際的な大会としては〈スペシャルオリンピックス〉が1969年以後開催されており,1977年からは冬季大会も始まった。
→関連項目アベベ障害者スポーツ

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改訂新版 世界大百科事典 「パラリンピック」の意味・わかりやすい解説

パラリンピック
Paralympic

〈パラリンピック〉は下半身対麻痺者paraplegicsと,オリンピックOlympicsとの合成語で,身体障害者の国際スポーツ競技大会の通称。スポーツが身体障害者のリハビリテーションに有効な治療手段となるところから,イギリスのストークマンデビル病院長,グットマンLudwig Guttmann博士らが脊髄損傷による下半身麻痺者のスポーツを奨励,競技大会を開いた。1952年オランダチームの参加により国際的競技大会となった。60年のオリンピック・ローマ大会より原則として同じ開催国でオリンピックに引き続き行うことに決定,76年のカナダ大会より切断者,視覚障害者の参加も認めるようになった。1980年のオランダ大会から脳性麻痺者が加わった。1964年の東京オリンピック時には,パラリンピック東京大会(第13回ストークマンデビル大会)が日本も含めて22ヵ国から379名(《パラリンピック東京大会報告書》)の障害選手を集めて開催され,その後も毎回盛会を続けている。代表的競技種目としては,陸上競技,水泳,車椅子バスケット,フェンシングアーチェリー等がある。なお,知的発達障害者の国際スポーツ大会は,特別オリンピックSpecial Olympicsとして,別に国際的な規模で催されていたが,1992年スペイン大会からパラリンピック精神薄弱者部門とされるようになった。日本では1964年の東京での国際身体障害者スポーツ大会(パラリンピック)を契機に,65年から毎年全国身体障害者スポーツ大会が開催されてきている。第1回の岐阜大会以来,秋期国民体育大会の直後に,当該の国体開催の都道府県で開催されている。また全国精神薄弱者スポーツ大会(ゆうあいピック)は1992年に〈国連・障害者の10年〉の最終年を契機に開催され,毎年各都道府県回り持ちで開催されている。
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知恵蔵 「パラリンピック」の解説

パラリンピック

障害者スポーツ最高峰の大会。国際パラリンピック委員会(IPC : International Paralympic Committee)が主催している。もう1つのオリンピックという意味を表すparallelとolympicを合わせた造語。1960年ローマ(伊)で開かれた国際ストーク・マンデビル大会を第1回大会とした。東京オリンピック後に日本で開かれた大会は第2回大会である。2000年シドニーパラリンピック時にはIOCとIPCの間で正式に協定が結ばれ、オリンピック開催都市でオリンピックに引き続きパラリンピックを開催すること、IPCメンバーからのIOC委員選出などが約束された。パラリンピックは名実とも、「もう1つのオリンピック」となった。冬季大会は76年から開催されている。シドニー大会時にスペインの知的障害のない選手が知的障害クラスに参加するという不正があり、06年現在、知的障害者の正式出場は認められていない。05年からは特に優れた選手だけが参加できるパラリンピック・ワールドカップが開催されている。パラリンピックに対する関心、メディアバリュー、競技力を向上させるための大会。

(藤田紀昭 日本福祉大学教授 / 2007年)

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