カーリング(読み)かーりんぐ(英語表記)curling

翻訳|curling

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーリング」の意味・わかりやすい解説

カーリング
かーりんぐ
curling

氷の上で行うスポーツの一種。ハンドルのついた平らな円形の石(ストーン)を滑らせ、標的に入れて得点を競う。このスポーツの発祥地スコットランドで、16世紀の初めにはすでに行われていた。ただし、似たような遊びがオランダなどで行われていたことは、ブリューゲルの絵でも明らかである。1838年にはスコットランドでグランド・カレドニアン・カーリング・クラブが創立され、そこを中心に世界に広まり、1959年より世界選手権が行われている。もっとも盛んな国はカナダで、2013年時点で約250万人の人々が楽しみ、アメリカやヨーロッパでも競技人口は多い。日本では1937年(昭和12)1月に諏訪湖(すわこ)(長野県)で初めて紹介され、同年にカーリング大会が山中湖(山梨県)で開催された。2013年(平成25)時点では北海道、長野を中心に全国22都道府県と広まり、カーリング人口は約2万人である。1998年(平成10)の第18回冬季オリンピック・長野大会で初めて正式競技として採用され、男子はスイス、女子はカナダが優勝した。

 2006年の冬季オリンピック・トリノ大会では、日本の女子チーム(チーム青森)の全試合がテレビ中継され、7位入賞という活躍をみせたことで、日本におけるカーリングの認知度が一挙に高まった。2008年の世界女子カーリング選手権では4位に入賞している。2010年の冬季オリンピック・バンクーバー大会でも8位入賞を果たした。

[小林 宏]

競技方法

1チーム4人の2組で行われ、長さ44.50~45.72メートル、幅4.42~5.00メートルのシートとよばれる氷上で、端にある直径3.66メートルのハウスとよばれる円に向かって、反対側より、1人2個ずつ計16個のストーンを交互に滑らせ合って、円の中心にどちらが近いかで得点を競う。円の中心をボタンといい、ストーンの遠近を測るため3本の同心円が描かれている。得点は、中心にもっとも近い場所にストーンを置いたチームが獲得し、相手チームは0点である。その際、相手チームのもっともボタンに近いストーンのさらに内側にある自チームのストーンの数を足した数が得点となる。

 ストーンは、重さ19.96キログラム、円周91.44センチメートル以下で、高さは11.43センチメートルを下回ってはならない。過去には鉄製のものもあったが、現在では花崗岩(かこうがん)(御影石(みかげいし))しか公認されていない。

 4人のチームメンバーの呼び名はリードセコンドサードスキップとよばれ、一般的にはこの順番に2投ずつ行う。スキップがチームの主将となり、おもにゲームの作戦を決める。スキップが投げる目標を指示し、その目標に向かって1人がストーンを投げ、残りの2人が掃き手となり、ブラシで、投げられたストーンの進行方向の氷面を掃く。これによって氷面をスムーズにして、スピードおよびコースを保つことができる。また、投げるときにストーンに与える回転も重要な技術の一つである。両チームのリードの2投は、フリーガードゾーンにある相手チームのストーンを動かすことができてもはじき出すことはできない(フリーガードゾーンルール)。二つの相対するチームが各8個のストーンを交互に投げ終わると1エンドが終了し、公式戦の場合は10エンドで1ゲームとなり、その合計得点によって勝敗を決める。

[小林 宏]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーリング」の意味・わかりやすい解説

カーリング
curling

ストーンと呼ぶ取っ手のついた花崗岩製の丸い石を,氷上に描かれた円 (ハウス) に向けて滑らせ,その中心部により近づけることによって得点を競う競技。ボウリングとおはじきを兼ねたようなゲーム。石がゆるやかに旋回 (カール) しながら滑っていくことからこの名がついた。 16世紀頃スコットランドで始まり,アメリカ合衆国,カナダ,ヨーロッパ諸国に広まった。リンクは約 44.5m× 4.75mの長方形で,ストーンは直径約 30cm,重さ約 20kg。ハウスの直径は約 3.6m。競技は2チーム対抗で行なわれ,1チームはリード,セカンド,サード,スキップの4人で構成,スキップは司令塔の役目を果たす。両チームが交互に1人2回,計 16個を投げたところで1エンドが終了,ハウス中心部 (ティー) により近いチームがそのエンドの勝者となる。その際,負けたチームのいちばん内側にあるストーンよりもさらに内側にある勝ちチームのストーンの個数が得点となる (負けたチームはゼロ) 。これを 10エンド行ない,その合計点で勝敗を決める。2人の選手がブルーム (長い柄のついたほうき) あるいはブラシを持ち,投げられたストーンの前方の氷面を掃いてストーンの回転や速度を調節する。交互に投げることによって,相手のストーンをはじき出したり,ハウスの前に置いて味方ストーンを相手から守ったりするなど,相手の戦略を探りながらの競技で「氷上のチェス」ともいわれる。 1998年長野オリンピック冬季競技大会からオリンピックの正式競技となった。

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