ビドック(英語表記)François Eugène Vidocq

改訂新版 世界大百科事典 「ビドック」の意味・わかりやすい解説

ビドック
François Eugène Vidocq
生没年:1775-1857

フランスの警察官。窃盗のかどで徒刑に処せられたが脱走,各種の犯罪を重ねるうち逮捕,収監された。やがて同房の囚人の告白を密告,1810年以降,スパイとして警察に協力した。17年パリ警視総監アングレスのもとで犯罪捜査課を創設,初代課長を務めた。犯罪者こそが,もっともよく犯罪者を知りうるとする,古い刑事行政理論を体現して犯罪者の摘発に成果をあげたが,地位を利用して窃盗を働いたために,27年罷免された。その目ざましい活躍と数奇な運命は,バルザックにボートラン,ユゴージャン・バルジャンのヒントを与えた。また,その回想録は犯罪小説の先駆とされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビドック」の意味・わかりやすい解説

ビドック
Vidocq, François Eugène

[生]1775.7.24. アラス
[没]1857.5.11. パリ
フランスの警察隊隊長,回想記作者。もと兵士。詐欺罪で送られた徒刑監獄から脱獄パスキエ公のもとでスパイ,次いで解放徒刑囚からなる警察隊の長となる。しばらく工場を経営して破産,警察に戻るが窃盗教唆により再び入獄代筆による『回想録』 Mémoires (4巻,1828~29) ,『盗人たち』 Les Voleurs (1837) がある。バルザックの『人間喜劇』中の人物ボートランのモデル。

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367日誕生日大事典 「ビドック」の解説

ビドック

生年月日:1775年7月24日
フランスの警察長官,回想記作者
1857年没

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