改訂新版 世界大百科事典 「ピロリジン」の意味・わかりやすい解説
ピロリジン
pyrrolidine
テトラヒドロピロールに相当する環式第二アミン。刺激臭のある無色の液体。空気中で発煙する。沸点88℃。水と任意の割合でまじり,強塩基性を示す(塩基解離指数pKb=2.7)。タバコやニンジンの葉に存在する。ピロールをニッケル触媒の存在下に水素で還元するのが最も簡便な合成法である。ピペリジンと同様に脂肪族第二アミンの性質を示す。有機合成における基礎的な原料として広く使われているが,とくにピロリジンとケトン類とを縮合させてできるエナミン(1-ピロリジノ-1-シクロヘキセン)は化学上きわめて重要である。
ピロリジンの誘導体は,鎮痛剤,興奮剤,血圧降下剤,局所麻酔剤,可塑剤,染色前処理剤などに用いられる。
執筆者:小川 桂一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報