ピペリジン(その他表記)piperidine

デジタル大辞泉 「ピペリジン」の意味・読み・例文・類語

ピペリジン(piperidine)

複素環式化合物の一。特異な刺激臭をもつ液体。強い塩基性を示す。コショウの辛み成分ピペリン加水分解して得られる。医薬品原料として用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ピペリジン」の意味・わかりやすい解説

ピペリジン
piperidine


ヘキサヒドロピリジンに相当する環式第二アミン。刺激臭をもつ無色の液体。融点-9.0℃,沸点105.6℃。水,アルコールに任意の割合でまざる。黒コショウに含まれる。ピペリン(コショウの辛味成分であるアルカロイド)をアルコール中で水酸化カリウムと加熱分解すると得られることから,ピペリジンの名称が与えられた。ピリジンニッケルまたはルテニウム触媒上で水素化して作る。塩基解離指数pKb=2.88で,ジエチルアミン(C2H52NH(pKb=3.07)よりも少し強い塩基性を示し,脂肪族第二アミンと同様の反応を行う。シクロヘキサンと同じように,いす形配座として存在する。いす形配座には,N-H結合がアキシアルのもの(a)とエクァトリアルのもの(e)の2種類が可能であるが,後者のほうがより安定であることが近年明らかになった。

有機合成原料として使われ,誘導体には多くのアルカロイドがある。
アミン
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化学辞典 第2版 「ピペリジン」の解説

ピペリジン
ピペリジン
piperidine

hexahydropyridine.C5H11N(85.15).アザシクロヘキサンともいう.ピリジン接触還元するか,ペンタメチレンジアミンの塩酸塩を蒸留してつくる.アンモニア臭のある無色の液体.融点-13 ℃,沸点106 ℃.0.8622.1.4534.pKa 11.2(25 ℃).水,有機溶媒可溶.強塩基性があるので空気中の二酸化炭素を吸収する.引火性がある.皮膚や口からの吸入は有毒.溶剤エポキシ樹脂の硬化剤,有機合成,医薬原料に用いられる.[CAS 110-89-4]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピペリジン」の意味・わかりやすい解説

ピペリジン(データノート)
ぴぺりじんでーたのーと

ピペリジン

 分子式  C5H11N
 分子量  85.2
 融点   -9℃
 沸点   105.6℃
 比重   0.8622(測定温度20℃)
 屈折率  (n)1.4534
 解離定数 6.3×10-12(25℃)


ピペリジン
ぴぺりじん
piperidine

複素環式化合物の一つで、環内に窒素原子1個をもつ飽和6員環化合物。ピリジンの水素化により得られる。アンモニアに似たにおいをもつ無色の液体で、水、有機溶媒のいずれにもよく溶ける。強い塩基性を示し、種々の酸と塩を生成する。有機合成や医薬品の原料として用いられる。有毒である。

[廣田 穰 2015年7月21日]

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栄養・生化学辞典 「ピペリジン」の解説

ピペリジン

 C5H11N (mw85.15).

 ヘキサヒドロピリジンともいう.コショウの辛味成分はピペリジンの誘導体.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピペリジン」の意味・わかりやすい解説

ピペリジン
piperidine

化学式 C5H11N 。ヘキサヒドロピリジンに相当する化合物。特異臭のある液体。沸点 106℃。水,アルコール,ベンゼン,クロロホルムに可溶である。

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