フォスター(Stephen Collins Foster)(読み)ふぉすたー(英語表記)Stephen Collins Foster

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フォスター(Stephen Collins Foster)
ふぉすたー
Stephen Collins Foster
(1826―1864)

アメリカの作詞・作曲家。7月4日、ペンシルベニア州ローレンスビルの実業家の家に生まれる。少年時代から音楽・演劇に才能を示し、14歳で作曲した『ティオガ・ワルツ』が処女作といわれている。1841年に大学に入るが1週間で中退し、音楽教師ヘンリー・クーパーの指導でベートーベンの音楽を研究、やがて歌曲をつくり始める。44年『窓をおあけ、恋人よ』を出版するが、このころ友人と合唱団をつくり、多くの歌曲をここに提供する。48年『おおスザンナ』が100ドルで売れたことに自信をもち、歌曲作家となる。以後『草競馬』『故郷の人々』『バンジョーをかき鳴らせ』『主人は冷たい土の下に』『ケンタッキーのわが家』『金髪ジェニー』『オールド・ブラック・ジョー』などの作品が、エドウィン・P・クリスティ一座をはじめその他のミンストレル・ショーで歌われて流行、全アメリカにその名を知られる人気作曲家になった。しかしその後、南北戦争(1861~65)の影響で彼の作品はあまり歌われないようになり、また家庭生活の破綻(はたん)もあって不調に陥り、1人でニューヨークに旅立つが、飲酒が原因の外傷から64年1月13日、貧困うちに没した。死の2か月後、遺作『夢みる人(ビューティフル・ドリーマー)』が出版された。出版された作品は188曲、いずれも豊かな詩情、素朴な美しさのある旋律に、深い愛情と人間性が表出されている。そこにはヨーロッパ的感覚とともに、南部黒人の生活や民謡の影響もみられ、アメリカ民謡の父ともよばれている。

青木 啓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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