フランカルボン酸(読み)ふらんかるぼんさん(英語表記)furancarboxylic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フランカルボン酸」の意味・わかりやすい解説

フランカルボン酸
ふらんかるぼんさん
furancarboxylic acid

フランの水素原子1個をカルボキシ基-COOHで置き換えた化合物で、2-フランカルボン酸別名焦性粘液酸)と、3-フランカルボン酸の2種類がある。

(1)2-フランカルボン酸 人およびある種の動物によるフルフラールの代謝生成物として知られている。フルフラールをアルカリ性下で過マンガン酸塩により酸化すると得られる。無色の板状結晶で、沸騰水に可溶で、エタノールエチルアルコール)、エーテルにもよく溶ける。酸性は、異性体の3-フランカルボン酸より強い。

(2)3-フランカルボン酸 黒斑(こくはん)病のサツマイモハマジンチョウ科ニシキギ科のある種の植物の根や種子中、マメ科の植物の根など、植物界にかなり広く分布している。針状結晶で昇華性がある。有機合成用試薬として用いられる。

[廣田 穰 2015年7月21日]


フランカルボン酸(データノート)
ふらんかるぼんさんでーたのーと

フランカルボン酸
2-フランカルボン酸

 分子式  C5H4O3
 分子量  112.1
 融点   133℃
 沸点   230~232℃
 解離定数 1.15×10-3(25℃)
 溶解度  3.6g/100mL水(測定温度20℃)

3-フランカルボン酸

 分子式  C5H4O3
 分子量  112.1
 融点   121~122℃
 沸点   (昇華)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「フランカルボン酸」の解説

フランカルボン酸
フランカルボンサン
furancarboxylic acid

C5H4O3(112.08).フロ酸ともいう.カルボキシル基の置換位置により二つの異性体がある.

】2-フランカルボン酸(2-furancarboxylic acid):ピロ粘液酸ともいう.フルフラールの代謝産物として,ヒトや数種類の動物中に存在する.フルフラールの酸化銀または過マンガン酸カリウム酸化により合成される.昇華性の板状晶.融点133 ℃,沸点230~232 ℃.温水,エタノール,エーテルに可溶.3-フランカルボン酸より酸性が強く,脱炭酸されやすい.【】3-フランカルボン酸(3-furancarboxylic acid):マメ科,ニシキギ科などの植物中に存在する.フランポリカルボン酸の脱炭酸により生成される.板状晶.融点121~122 ℃.110 ℃ で昇華する.熱湯,エタノールに易溶.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android