日本大百科全書(ニッポニカ) 「フランカルボン酸」の意味・わかりやすい解説
フランカルボン酸(データノート)
ふらんかるぼんさんでーたのーと
2-フランカルボン酸 | |
分子式 | C5H4O3 |
分子量 | 112.1 |
融点 | 133℃ |
沸点 | 230~232℃ |
解離定数 | 1.15×10-3(25℃) |
溶解度 | 3.6g/100mL水(測定温度20℃) |
3-フランカルボン酸 | |
分子式 | C5H4O3 |
分子量 | 112.1 |
融点 | 121~122℃ |
沸点 | (昇華) |
フランカルボン酸
ふらんかるぼんさん
furancarboxylic acid
フランの水素原子1個をカルボキシ基-COOHで置き換えた化合物で、2-フランカルボン酸(別名は焦性粘液酸)と、3-フランカルボン酸の2種類がある。
(1)2-フランカルボン酸 人およびある種の動物によるフルフラールの代謝生成物として知られている。フルフラールをアルカリ性下で過マンガン酸塩により酸化すると得られる。無色の板状結晶で、沸騰水に可溶で、エタノール(エチルアルコール)、エーテルにもよく溶ける。酸性は、異性体の3-フランカルボン酸より強い。
(2)3-フランカルボン酸 黒斑(こくはん)病のサツマイモ、ハマジンチョウ科、ニシキギ科のある種の植物の根や種子中、マメ科の植物の根など、植物界にかなり広く分布している。針状結晶で昇華性がある。有機合成用試薬として用いられる。
[廣田 穰 2015年7月21日]