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フロネシス phronēsis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フロネシス
phronēsis

「思慮」「知識」「深慮」の意のギリシア語。プラトンにおいて理論・実践両面に用いられ,イデア的世界(→イデア)の観想という意味で,あるいは知識の最高形態としてのヌースと同義に使用されている。アリストテレスでは性格上の徳と区別された知性的な徳として,理論的知識としてのソフィアと対立する実践的知識として特徴づけられ,倫理学の中心概念となっている。たとえば政治学は,彼の分類による学の 3形態の一つプラクシス,すなわち実践学であり,そこで要求される知識であるフロネシスは,市民の間で繰り広げられる対話による目的の設定と手段の選択を配慮する蓋然的正しさをもった知識である。その後ストア派エピクロス派(→エピクロス),新プラトン派(→新プラトン主義)においてもこの概念は重要な役割を果たしている。ローマ時代におけるプルデンチアは,同様の訳語が与えられてサピエンチア(学識)と対比されることばであるが,前者は経験に基づくものであり,後者は学問に基づくものとされる。合理主義的な近代政治理論においては,トマス・ホッブズのようにフロネシスを不確実な知識として放逐する傾向がある一方,保守主義的な政治理論においては,科学的知識の限界を乗り越える政治的な知識のあるべき姿として重視されている。

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