ブラギ(読み)ぶらぎ(その他表記)Bragi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラギ」の意味・わかりやすい解説

ブラギ
ぶらぎ
Bragi

北欧神話の神。主神オーディンの子でイドゥンの夫。弁舌の才に優れ、詩の神とされるが、神話ではたいした役割をもたず、儀礼にも登場しない。『エッダ』の「ロキ口論」では、海神アエギルの館(やかた)に押し入ろうとするロキに入室を拒み、臆病(おくびょう)者、椅子(いす)の飾りとののしられる。ブラギはスカルド詩にもわずかにみられるだけで、オーディンの助言者とされ、史上最初の詩人とされる9世紀のブラギ・ボダソンの神格化とみる説が古くからある。

[谷口幸男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラギ」の意味・わかりやすい解説

ブラギ
Bragi

北欧神話の詩と音楽の神。オーディンと女巨人グンレズの息子で,オーディンにより舌の上にルーン文字を記され,英雄武勲を歌う役に任じられた。彼が黄金竪琴を奏 (かな) で歌をうたうと,花が咲き木は芽を吹いたといわれ,冬を終らせ春を到来させる豊穣神的性質をもつ。妻はイズンという永遠の青春を神々に約束するりんごをもつ女神。オーディンの一面を表わすともいわれる。

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百科事典マイペディア 「ブラギ」の意味・わかりやすい解説

ブラギ

北欧神話の詩歌,雄弁,知恵の神。オーディンの子でイズンの夫。一説に詩人ブラギ・ボッダソンBragi Boddason(9世紀?)の神格化とも。

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世界大百科事典(旧版)内のブラギの言及

【アース神族】より

スノッリ・ストゥルルソンの《エッダ》の〈ギュルビたぶらかし〉によると,14の男神と後にふれる女神たちを含む。男神の中ではオーディンとトールがとくに活躍するが,そのほかにバルドル,ニョルズNjörðr(風,海,火,豊饒の神),フレイFreyr(豊饒と平和の神),チュールTýr(戦士の神),ブラギBragi(雄弁と詩の神),ヘイムダル,ホズ(盲目の神。ヤドリギでバルドルを射る),バーリ(ホズを討つ),ビーザル(怪狼を倒しオーディンの仇を討つ),ウルUllr(名射手),フォルセティ(和解の神),ロキ。…

※「ブラギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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