ブルイユ(英語表記)Henri Edouard Prosper Breuil

改訂新版 世界大百科事典 「ブルイユ」の意味・わかりやすい解説

ブルイユ
Henri Edouard Prosper Breuil
生没年:1877-1961

フランスの考古学者。モルタンMortain生れ。パリの人類古生物学研究所で,創設以来の先史人類学の教授として旧石器時代文化の研究に不朽業績を残した。1901年にペイロニとともにレ・コンバレルフォン・ド・ゴーム洞窟壁画を調査し,旧石器時代のものであることを初めて明らかにした。またヨーロッパの旧石器時代文化の編年について,石核石器文化と剝片石器文化の2系列説を提唱した。その研究分野はヨーロッパだけでなく,アフリカの先史時代美術にも及んでいる。29-47年コレージュ・ド・フランス教授。主著に《洞窟美術の4万年》(1952)がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブルイユ」の意味・わかりやすい解説

ブルイユ
Breuil, Henri Édouard Prosper

[生]1877.2.28. マンシュ,モルタン
[没]1961.8.14. セーヌエオアーズ,リラダン
フランスの考古学者。青銅器時代のパリ盆地を研究したのち,先史時代の美術分野のパイオニア的存在となり,『アルタミラ洞窟』 La Caverne d'Altamira (1906) ,『フォンドゴーム洞窟』 La Caverne de Font-de-Gaume (10) などを出版。 1910年人類古生物研究所教授,29~47年コレージュ・ド・フランス教授,38年フランスアカデミー会員。第2次世界大戦中および戦後6年間アフリカ南部をまわり,多くの洞窟壁画をスケッチした。また旧石器時代の編年に多大の貢献をした。『後期旧石器文化の細分とその意味』 Les Subdivisions du Paléolithique Supérieur et leur signification (12) は,ヨーロッパ旧石器文化の編年上の最大の業績である。

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百科事典マイペディア 「ブルイユ」の意味・わかりやすい解説

ブルイユ

フランスの考古学者。旧石器時代文化を石核石器系と剥片(はくへん)石器系に分けて研究し,ヨーロッパ旧石器時代文化の研究に貢献。またアルタミラフォン・ド・ゴームなどの後期旧石器時代の洞窟絵画編年体系と様式観を確立した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルイユ」の意味・わかりやすい解説

ブルイユ
ぶるいゆ
Henri Edouard Prosper Breuil
(1877―1961)

フランスの考古学者。パリの化石人類学研究所教授、コレージュ・ド・フランスの教授などを歴任し、旧石器文化研究に一時代を画した。とくに層位学的観点からの後期旧石器時代の編年体系を確立したことで著名前期旧石器時代についても、クラクトン文化段階とルバロア文化段階を設定した。また、ラスコー洞窟(どうくつ)の壁画研究でも知られ、これらを後期旧石器時代初期のものとした。

[山下秀樹]

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世界大百科事典(旧版)内のブルイユの言及

【アルタミラ】より

…壁画は,貝殻や動物の骨,焚火の跡とともに,1879年に発見された。発見者のサウトゥオラMarcelino de Sautuolaは旧石器時代のものと主張したが,学界の承認を得るにいたらず,1902年,フランスの考古学者カルタイヤックÉmile Cartailhacとブルイユの調査によって,サウトゥオラ説が確認された。壁画が集中しているのは,入口から30mほど入った左方にある,長さ18m,幅8~9mの部屋の天井(高さ1~2m)で,25頭の動物像が赤・黒・褐色で描かれている。…

【オーリニャック文化】より

…これはアルシー温暖期にあてられ,炭素14法によって3万0500年前ごろとされる。オーリニャック文化は,20世紀初頭,ムスティエ文化ソリュートレ文化の間に位置づけられ,その後H.ブルイユによって3期に区分された。さらにその前・中・後の各期はおのおのをシャテルペロン文化,オーリニャック文化,グラベット文化と呼ばれることになる。…

※「ブルイユ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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